カスタマーサクセス担当VP を採用すべきタイミング

ジェイソン M レムキンさんをご存知ですか?

 

そうです! あのSaaStr社(B2B/SaaS事業の創業者が集まる世界最大規模のコミュニティ)を2012年に創業した方です。それ以前にも会社をいくつか創業したシリアルアントレプレナーで、最近は SaaStr社の事業の一環として投資活動もしています。

 

そんなシリコンバレーの申し子であり、SaaS経営者にとっては神のような存在のジェイソンさんは、非常にカリスマ性のあるソートリーダーでもあり、いつも先見の明をもったシンプルなメッセージを発信してくれるため、私は彼のブログを読んだり動画を観るのが大好きです。

 

今回は彼のブログの中から、事業の成長に応じ経営チーム人材をどの順で採用すべきか、に関する記事をご紹介します。

 

我々としては、カスタマーサクセス担当VPを採用するタイミングが気になるところですが、それ以外のVPについても興味深く、とても参考になりますよ!

 

注:SaaStr社の許可を頂き原文の和訳を紹介します


 

経営チームをどの順番で採用すべきか?

 

私は先日、小規模なシード資金調達をした会社の偉大なCEOと会いました。メチャクチャ惚れ込むほどではないけれど、投資するには十分魅力的な事業です。

 

彼は経営チームに参画してくれる人材を探していました。中でも、最初のマーケティング責任者と最初のプロダクト責任者については、既に素晴らしい候補者と出会っていました。

 

彼は私に聞きました、どちらを最初に雇うべきかと。ー 答えは明白、両方!です。

 

銀行にプラスの数字が残っていて、素晴らしいVPクラスの人材を見つけたなら、半ステージまたはフルステージ早くても、とにかく即採用しましょう!!

 

人材採用はそれほど厳しい世界です。素晴らしいVP候補者に出会った時「まだ少し早いかな・・・」と先送りして小金を節約するのは愚の骨頂です。

 

とはいえ、彼の質問はポイントをついています。SaaS企業にとって理想的なVP採用計画をもつことは理にかなっています。下図は理想的なVP採用計画です。

 

 

以降、少し説明しましょう。

 

まずマーケティング担当VP

 

マーケティング担当VPは、MRR2万ドルの段階で早々に採用しましょう。

 

会社を立ち上げたばかりの方にはかなり無謀に聞こえるでしょう。でも、リード創出役(中小企業の場合、成長ハッキング役)はMRRが2万ドル (訳者注:約2百万円) の段階でも大いに活躍してくれます。

 

4倍速で成長しているのを忘れないでください。年初にARRが約20万ドルだった事業は、年末には優に80万ドル強の規模に成長しています。最初のマーケティング担当VPは有望リード数を25%は増やすでしょう。それだけで彼女/彼の給料がペイします。 素晴らしい人材は 将来の成功に向けてとにかく早く、今すぐ採用しましょう!

 

この点に関するディスカッションは、別の記事や以下の動画からご覧いただけます:

 

 

 

次に営業担当VP

 

ARRが百万ドルに届く頃には、営業担当VPを採用しましょう。

 

SaaStr社はこの点を何度も強調してきました。売上目標を達成する力のある(それも継続的に達成できる) 営業担当者を2人採用する前に、営業担当VPを採用してはいけません。それは早すぎます。

 

ARRが百万ドル(訳者注:約1億円)に届く前には、売上目標を達成できる営業担当者を最低2人は抱えている必要があります。その頃には営業担当VPが採用されていて、彼/彼女が更に営業担当者3〜300名採用してくれるのが理想です。

 

尤も、まずは営業担当VP自身にその実力を証明してもらいましょう。彼/彼女の部下、つまり営業担当の採用を精力的に進めてもらうのはその後です。さもなくば、悲惨な状態を迎えることになります。

 

 

そしてカスタマーサクセス担当VP

 

ARRが2百万〜3百万ドルになれば、 最初のカスタマーサクセス担当VPを採用する準備OKです

 

カスタマーサクセス担当VPを採用する最適なタイミングは、他のVPのケースより少し確証が薄いですが、恐らくARRが2百万〜3百万ドル(訳者注:約2?3億円)あたりです。

 

事業立ち上げ初期の段階では、カスタマーサクセスの経験がある程度あって大胆無敵(フツパー)なタイプの “仕事が出来るヤツ” が1人ないし2人いれば、カスタマーサクセスをするのに十分です。特に最近のカスタマーサクセスリーダーは以前ほどハンズオンな仕事を好まなくなっているため、”出来る” 実務者を数人採用する方が、VPクラスを1人採用するよりずっと良いことが多いです。

 

しかし事業が成長し、ARRを2百万ドル以上にスケールさせたい段階になったら、カスタマーサクセスの統括レベルを採用しなければなりません。

 

カスタマーサクセスマネジャー1人あたり 50万ドル〜百万ドルのARRをカバーするとして、ARRが2百万〜3百万ドルを超えてくると、あなた自身が50%の時間をつかってカスタマーサクセスマネジャー数人の仕事を統括するのには無理が出てきます。そうなる前に、カスタマーサクセス担当VPを採用してください。

 

そしてもし、ハンズオンな仕事を好むタイプのVPを採用できれば、彼/彼女は更に、カスタマーサクセス業界で#1または#2 クラスの人材をひっぱってくることさえあります。

 

 

その後にプロダクト担当VP

 

必要性を感じにくいですが、ARRが4百万?5百万ドル(訳者注:約4?5億円)に到達する頃にはプロダクト担当VPが必要です。

 

起業が初めての創業者は通常、優秀なプロダクト担当VPと一緒に働いた経験がないため、直感的にその必要性に「しっくり」きません。

 

でも私を信じてください。企業カスタマーが 20〜100社、ワークフローが50?100超、プロダクト構成が10を超えてくると、あなたが経営をリードしつつプロダクトのことも考えるのは、あまりにも無謀といえるほど状況は複雑です。

 

プロダクトロードマップを計画し、カスタマーからのフィードバックを精査し、エンジニアリングチームとの調整をするのに週50時間使える人材が必要です。

 

プロダクトが複雑になったタイミングで絶対それが必要になります。そうなる前にあらかじめプロダクト担当VPの採用を計画してください。素晴らしい人材を採用できたなら、あなたは私の言った意味がよく理解できるでしょう。彼/彼女はあなたにとって贈り物ともいえる存在です。

 

もっと知りたい方はこちらの記事を参照ください。

 

 

最後にエンジニアリング担当VP

 

ARRが8百万〜10百万ドル(訳者注:約8?10億円)になれば、いよいよエンジニアリング担当VPが必要です。

 

なるべく早く採用しましょう。CTOと創業者の9割は、エンジニアを10-100人採用するのに苦労しています。彼らの直下に、小規模な素晴らしいチームをおけば、エンジニア採用ポジションの魅力を上げることができます。

 

しかし、ピザ付きのカジュアルなものでなくフォーマルなリクルーティング活動や、熟慮された実装プロセスの設計、レガシーコードの維持、コードのレビュー、DevOpsチームとSecOpsチームの調整、加えて戦略を考える… などなど、相当な負担です!

 

あなた以外の誰か(エンジニアリング担当VP)が、彼/彼女の時間を人材採用に50%、問題の特定&解決に25%、計画策定に25%を費やすべきです。エンジニアリング担当役員の役割に「ゼロコードコミット」が明記されることもよくあります。

 

エンジニアリングを統括する優秀なVPがいなければ、たとえCTOが天才ハッカーだったとしても、エンジニアリングチームの規模を拡大することは不可能です。

 

 

以上が理想的なVP採用計画です。

 

どうでしょう、あなたの事業はこの例外ケースになりそうですか? この中でスキップできるVPがいそうですか? もっと後ろ倒ししてもよさそうですか?

 

ここはハッキリ断言します、例外はなし、スキップできるVPもいなければ、後ろ倒しもできません。

 

私はこれまで26社超のSaaS新興企業と密接に仕事をしてきました。私自身も会社をいくつか設立した経験があります。副社長の採用では、皆さんと全く同じミスを犯した一方で、とても優秀かつ偉大なVP(マーケティング、製品、販売)に出会う幸運にも恵まれました。

 

彼らは私の人生を変えました。あなたの人生も、優秀なVPに出会えばきっと大きく変わります。

 

もしあなたが、もっと時間をかけてずっと後になってからVPクラスを採用したとしても、絶対失敗するとは言いません。致命的なミスにはならないでしょう。

 

けれども、その場合、事業経営は非常に困難を極め、加えてスケールするスピードは愕然と落ちるでしょう。その組み合わせは、相当に大きな機会損失です。

 

騙されたと思って、少なくとも私の言ったことを試してみてください。もしこれより1〜2年早くよい人材を採用できたなら、それは本当に素晴らしいことです。事業を成長させるためにあなたがしたいことを、何でもできるようになるでしょう。

 

(原文)

 

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