知識だけでは意味がない。行動に移すことで世界は変わる -杉山 晴香-

 

スタートアップ企業でカスタマーサクセスの責任者を経験し、現在ではSuccessGAKOの講師を務める杉山晴香ですが、決して全てが順風満帆なキャリアではありませんでした。美大出身の彼女がビジネスの世界に足を踏み入れることになったきっかけとは。そしてSuccessGAKOを通じてどのような世界を実現していきたいのか。自身の言葉で語ります。

 

カスタマーサクセスのキャリアについて

 

私はこれまで、人材業界でキャリアを積んだ後、スタートアップに参画してカスタマーサクセスチームを立ち上げ、事業譲渡を機にリンクアンドモチべーションに参画しました。

 

現在はCSオペレーションズチームを管掌しながら、SuccessGAKOの「認定カスタマーサクセス」講師を務めております。

 

オペレーション設計、データ分析などの裏側の仕組み構築を得意としていますが、元々美大出身で、当時は企業でこんな風に働くとは想像もしておりませんでした。共感性や社交性も低かった私が、どのようにして現在のキャリアを歩んでいったのか。この機会にお伝えできればと思います。

 

企業で働く面白さを教えてくれた恩師の存在

 

私は小さい頃から物事の原理原則を知るのが好きで、いつも「なんで?なんで?」と親に聞いてばかりいる子供でした。また父が厳しく、習い事などをやめるときは必ず理由を聞かれていましたので、Whyを考える癖がついていました。そうした環境で育った私でしたが、人のストーリーに興味を持ち、映画づくりをしたいと美大へ進学を決めます。

 

社会に出てから役に立っている美大での経験のひとつが「映画づくり」です。

 

映画は共同作業が非常に多く、一つの工程が遅れると、別の誰かが帳尻を合わせなければいけません。中には締め切りを守らない人もいたりするので、次第に対策を立てるようになりました。そうした進行管理と同時に、人の強み・弱みを見極めたり、事前にフォローするなどの調整が得意だということに、自分でも気づきはじめました。

 

チームで成果を出していくことに興味が湧いたのは、その頃からです。

 

また、私にとって人生を変えてくれた恩師が大学のゼミの先生です。その先生に出会えたことは、自分の人生における大きな転機となりました。

 

▲恩師であるゼミの先生との一枚

 

元々、先生はソニーの出身で、まだサステナビリティといった考え方が世間に浸透する前から、サステナブルデザインやビジネスデザインについて教えていただきました。

 

先生がいつもおっしゃっていたのは、「社会に出た方がいい」「会社に勤めてみた方がいい」ということ。映画監督を目指す学生や、テレビ業界を希望する学生が多かった中、「どの企業に入っても能力は活かせるし、経験も活かせるよ」と教えていただいたのです。

 

ソニーのワークショップにも参加させてもらい、大学での学びがどう仕事に役に立つのかをリアルに体験させていただきました。自分の持っている能力が「プロジェクトマネジメント」であることも、先生の話から知ることができました。

 

先日、ゼミ生の結婚式で先生にお会いしたとき「今、バリバリ働いてますよ」とお伝えすると「やっぱりね。マネジメント向いていると思ってたんだよ」と笑いながら言ってくれたのが嬉しかったですね。

 

カスタマーサクセスは全社で取り組むべきこと

 

恩師の勧めもあり、就職活動をおこなった私は新卒で人材業界に就職。受注後のお客様のフォローアップ、つまり既存顧客の支援を行う担当になりました。

 

しかし、年度の売上や新規獲得ばかりに注力する会社の方針に、次第に違和感を抱くようになっていきました。新規も、もちろん大切ですが既存のお客様を満足させ次の年も更新していただくことも同等の価値があるはず。どうしてそういう発想が出てこないのだろう…と。

 

▲人材業界時代の仲間たちと

 

その後、紆余曲折を経てOneteamというSaaSスタートアップ企業に転職し、はじめてカスタマーサクセスの存在を知りました。その時に「当時の自分の思いは間違っていなかったんだ!」と確信したのです。

 

カスタマーサクセス に取り組む中で、あるお客様から解約の際に言われた言葉が、今でもとても印象に残っています。

 

「解約について、社長とかなり押し問答しました。杉山さんをとても信頼していたので、まだ一緒にやっていきたかったです」と言われたのです。

 

その時に感じたのは、「カスタマーサクセスは全社で取り組まないとダメだ」ということ。

 

カスタマーサクセス部門だけが頑張っても、仕方ない。プロダクトがきちんとしていなければ、どれだけ頑張っても価値は上がらないし、お客様を成功に導くことはできない。そのことを、痛感しました。

 

全社でカスタマーサクセスに取り組むとはどういうことなのか、非常に考えさせられた出来事でした。

 

プロダクトチームを本気にさせることができなかったのは、自分の力不足です。当時はCCSO(Chief Customer Success Officer)というCSの最高責任者でしたから。プロダクトチームに声を届けるとか、開発責任者と話し合ってもっと開発の優先順位を上げさせるとか、やるべきことができていなかったと反省しています。

 

顧客が本当に求めているものを追求し、永続できるサービスを

 

リンクアンドモチベーションに移ったあとは、CSMではなくOps(オペレーションの企画構築、データ分析)担当になったので、お客様と距離がある形になりました。その分、危機感を持って業務にあたっています。

 

お客さまと直接やり取りをしていないので、この施策は本当にお客さまが求めているものなのか分かりづらいところがあります。ここで判断をミスしてしまうと、施策のための施策になってしまい意味がありません。

 

チームメンバーが「こういうイベントをやりたいです」と持ってくると、「本当にお客様って、これやりたいかな?」「これをやったことで、お客様と自社、両方にメリットある?」と、一つひとつこだわってフィードバックしています。

 

「お客様の表層的な要望をそのまま受け取って迎合してはいけないし、すぐに要望に応えられないからと安売りするのもいけない、成果を出してその対価をもらうこと」これが、普段から自分にもチームにも言い聞かせていることです。

 

▲現職のイベントでの登壇時の写真

 

また、前職から事業譲渡したサービスをリブランディングのためクローズした経験が今でも私を突き動かす原動力になっています。

 

お客様が使っているサービスについて、価格も用途も変わることを説明し、場合によっては利用を止めていただく判断も仰がなくてはいけませんでした。まだ、このまま使いたいというお客様もいましたので、つらかったのを覚えています。お客様の成功だけでなく、自分たちの事業自体も成功さなければいけない。win-winの関係で成長していくモデルを築かなくては誰も幸せにできないと、強く感じました。

 

そのため、次のサービスを担当したときは「絶対このサービスはクローズさせない」と心に誓いました。ちょうど解約が出始めたタイミングでの異動だったのですが、「これは逆にチャンス」と捉えて、裏側の仕組みに大きくテコ入れしました。

 

絶対に今関わっているサービスを永続できるよう、大きく成長させていきたいと思っています。

 

将来への期待と一抹の危機感からSuccessGAKOへ

 

SuccessGAKOの受講生には、学ぶ意欲の高い方が多く、こんなに熱心な人達がいるなら、日本も変われるのではないかと本気で思っています。

 

受講生から「会社のサクセスチームが変わってきました」というような報告があると、純粋にとても嬉しいですね。カスタマーサクセスという分野で、活躍する受講生が増え、多くの業界を活性化できらいいなと思っています。

 

一方で、カスタマーサクセスが一過性の流行で終わってしまうのではないかという一抹の危機感も同時に持っています。

 

カスタマーサクセスのイベントなどにもたまに参加するのですが、表面的な話に終始していることも多く、分かったような気になってしまうのは怖いですね。

 

だからこそ、認定カスタマーサクセスで、しっかり皆さんにカスタマーサクセスの本質をお伝えしていきたいと思っています。

 

日本の次世代を明るくするために

 

 

講座を通じて意識しているポイントが2つほどあります。

 

1つは、表層的な理解で終わらないように実践までの内容をお伝えすることです。

 

知識だけを持っていても意味がなく、やってみること、やりながら考えてみることを忘れないでほしいと思っています。そのため、「行動」まで繋げてもらえるように意識しています。

 

2つ目は、Howの話だけでなく、Whyの部分を必ずぶらさず伝えることです。

 

本や記事を読めば分かることや、Howの部分はあまり重要ではありません。「どうして、そうしなければいけなかったのか?」や、「この目的はそもそも何だったのか?」というHowよりも、Whyの部分こそが重要です。ただし、なかなか理解されない部分でもあります。

 

私は、日本の次世代を明るくするためにカスタマーサクセスが大事だと思っています。自分の子供の世代が前向きに生きられる世の中にしたいと本気で思っているのです。

 

SuccessGAKOを通じて、行動する皆さんの背中を押すきっかけをつくっていきたい。

 

そして受講生たちが活躍する事例が増えていけば、世の中は確実に変わっていくのではないでしょうか。今は、そう強く願っています。

 

Text by Kazue Inada  / Edited by Keita Kubo

 

▼カスタマーサクセスに挑戦する人が、知恵と勇気と仲間を手にする実践者コミュニティ「SuccessGAKO」

 

 

SuccessGAKO(サクセスガッコウ)は、日本のカスタマーサクセスの未来を作る変革リーダーを輩出するための学び場です。カスタマーサクセスを追求するビジネスパーソンが、知識や知恵を学び、考え、実行することで、自社、顧客そして自身も成功することを目指します。経験豊富な講師陣による集中講座と、メンバー限定コミュニティにより、一方的に知識を伝授するのではなく、仲間と切磋琢磨しながら「実践」することに価値をおいたプログラムを提供します。

 

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