カスタマーサクセスはデジタル時代に必須のマインドセット!

先日、「カスタマーサクセスのスコープ(範囲)は?」と聞かれ、即答に窮しました。

 

カスタマーサクセスは、デジタル時代に「無くてはならない存在」を目指す企業に必須な “マインドセット” であり、”組織能力” であり、”業務プロセス“です。

 

“カスタマーサクセスはデジタル時代に必須のマインドセットだ” という意識が強いと、「スコープ(境界線を引く)」という発想が馴染みません(そういう疑問自体が生まれにくいです)。

 

一方、”カスタマーサクセスという組織能力を強化せよ” との命を与えられたCCOやリーダーは、自分が担う責任のやチームの役割の「スコープ(対象)」を考えなければなりません。

 

つまり「カスタマーサクセス」をどう捉えるかによって、抱く問いが変わります。逆に言えば、質問からその人の関心所や視座を推測できるとも言えます。

 

今回は、「カスタマーサクセスはマインドセットだ!」と主張する記事を紹介します。先の記事「カスタマーサクセスの目的って何でしたっけ?:日本に生まれている混乱と真の目的」などでお馴染み、キア・プームさんの記念すべき100本目(!)の記事です。

 

最初にタイトルを目にした時、「え、そう言いきっていいんでしたっけ?」と少し戸惑いましたが、読み進めると、カスタマーサクセス “ではないもの”、即ち誤解して陥ってはいけないことが重要なポイントだと分かります。いつもながら、考えさせるコンパクトな記事を書かれるキアさんに、改めて敬意を抱きました。

 

注:著者Kia Puhm氏の許可を頂き原文の和訳を紹介します


 

「カスタマーサクセスは、”部門” の話ではなく、”マインドセット” の話です」と、私は繰り返し言ってきました。

 

“カスタマーサクセスはマインドセット” の意味するところ

 

カスタマーサクセスは、ある特定の部門が責任を担って実行することではなく、会社全体が責任をもって実行することで成功することです。

 

社員1人ひとりが、各人の役割や仕事の内容、カスタマーとの接点の有無にかかわらず、カスタマーが達成したい目標(即ち、カスタマージャーニー上の進捗 )に対し自分の仕事が最終的にどう貢献するのかを理解しているということです。

 

「カスタマーサクセス」という名前の部門が存在するからといって、ある単一の部門にカスタマーサクセスの責任がすべて移管されるわけではありません。

 

カスタマーサクセスがマインドセットとして全社に浸透している会社では、カスタマーが成功するのに必要なことがすべて揃ったシームレスなカスタマー体験を提供するという目的に向かい全社員が有機的に連携しています。

 

すなわち、社内のあらゆる部門・あらゆる階層にいる人たちが、どうしたらもっと良いカスタマー体験を出来るか?、どうしたらもっとプロダクトより活用してもらえるか? を究極の目的に据えて自分の仕事を考え、常に1つ上のレベルを追求しています。

 

問題を抱えているカスタマー個々人に対する解決策やエスカレーション対応は、バンド・エイド・ソリューション(訳者注:その場の問題解決だけを志向した対策、またはつけ焼刃な対策)ではありません。あらゆる組織のエキスパートが動員され、結果としてカスタマー基盤全体のアダプション、リテンション、エクスパンション促進に繋がるような包括的なソリューションです。

 

更に、カスタマーサクセスがマインドセットとして全体に浸透している会社では、すべての組織が全社共通の経営目標の一翼を担う形で一枚岩になっています。つまり、あらゆる部門のあらゆる仕事が、プロダクトの活用促進・増進に繋がるよう組立っています。

 

社員1人ひとりの究極の関心事は、「私が何をすれば、カスタマーにより良い体験・より効果的な目標達成をもたらせるだろうか?」です。

 

逆に、カスタマーサクセスの責任を担うのはそれを担当する部門のみだと信じている企業では、自然と組織がサイロ(組織・部門間に強固な壁がある状態)化し、全社共通目標への意識が弱いことから部門間コンフリクトが生じやすく、結果的としてカスタマーへ提供される体験は貧弱なものになります。

 

更に、組織横断で構造的な問題の根本解決にあたろうとする動きも自然と排除されます。解決策はカスタマーサクセスチームが考えて実行するものだ、という責任を押し付ける意識が強く、結果として問題への解決策はその場対応的なものになります。

 

各部門が自部門の目標達成を優先し、カスタマーの課題を解決する責任からなるべく逃れようとするアプローチがとられる会社では、カスタマーフィードバックデータから学習し、継続的な改善に繋げようという動きも生まれません。

 

結論

 

事業を大きく成長させたいなら、カスタマーへどうやって成功をもたらせばよいか、を絶えず考え追求しなければなりません。

 

それには、社内のすべての人が、自分の努力がカスタマーの成功にどう繋がるかを理解し、カスタマーの目標達成に繋がらないことは常に継続的に改善されていく状態になる必要があります。

 

カスタマーサクセスは、ある特定の部門が責任を担って実行することではなく、会社全体が責任をもって実行することで成功すること、そういうマインドセットが全社に浸透していることが重要です。そういう企業では、より良いカスタマー経験、より良いプロダクトの活用を目指した最も効果的な継続的改善のやり方を全社員が追求する組織になっているのです。

 

マインドセットこそが自社の成功の鍵を握るのです!

 

(原文)

 

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