米国でも日本でも何かとホットな「コミュニティ」。先の記事「カスタマーコミュニティを立ち上げる方法:7つの重要ステップ」では、コミュニティを本腰で立ち上げる際の重要ステップをご紹介しました。
ご承知の通り、たとえ全く同じステップで立ち上げても、どれ1つとして同じコミュニティが生まれるはずはなく、実際に上手く機能するかどうかは差が生じます。”絶対”な魔法の杖はないですが、少なくとも成否を分ける共通ポイントはありそうです。
という視点から、コミュニティプラットフォーム(ソリューション)を展開するLithium社が同社の豊富なカスタマー事例から抽出した「繁栄するコミュニティの特徴10項目」と、「回避すべきよくある落とし穴10項目」をご紹介します。
皆さんの会社のコミュニティに対して、チェックリストのように活用してみてはいかがでしょうか。
コミュニティを活用してカスタマーのローヤルティとリテンションを引き上げる方法
あなたの会社のマーケティング部門は、既存カスタマーのリテンションよりも新規カスタマーの獲得に目がいってませんか? それとも両方とも同じくらい目配りしていますか? どちらの場合に該当しても多数派です。
Econsultancy社/ Responsysによると、新規カスタマーの獲得よりも既存カスタマーのリテンションに重点を置いている、と回答した企業は 16%にしか過ぎませんでした。
残念ながら、大多数の企業がしていることは理想的な戦略といえません。実際、既存カスタマーのリテンションに注力すれば、コストを削減し、高いROIを速攻で実現することができます。
以下の統計データをご確認ください:
・ Bain&Company社によると「新規カスタマーの獲得は、既存カスタマーのリテンションに比べ6〜7倍高いコストがかかる」
・マーケティング指標によれば、既存カスタマーの成約率は60〜70%ですが、新規カスタマーの成約率は5〜20%です
・ある業界では、既存カスタマーのリテンション率が5%増加すると利益が25%以上増加することがあります
では一体、カスタマーをあなたのプロダクトのファンにするために何をすればよいでしょう?
自社ウェブサイトをデジタル戦略の中心に据えることから始めましょう。既存カスタマーのカスタマー満足度とリテンション率を向上させる最強の方法は、活気のあるオンラインのカスタマーコミュニティを構築し育成することです。
会社のウェブサイトを、カスタマーが会話できる機会を提供するソーシャルな場に仕立てましょう。そうすればあなたの会社はカスタマーとより深い絆をもつことができ、更に、売上の増加、カスタマーサービスコストの削減、イノベーションの加速にも繋がります。
さあ、既存カスタマーのリテンション向上に向け、カスタマーコミュニティの構築に本腰をいれて取り組む覚悟はつきましたか?
以下に、繁栄するコミュニティの特徴10項目と、回避すべきよくある落とし穴10項目をご紹介します。
繁栄するコミュニティの特徴10項目
1. あなたのブランドを愛するファン同士が繋がり、社内のプロダクト専門家とも交流できるディスカッションフォーラム(場)がある
2. カスタマーがあなたのプロダクトについて学び、経験できる機会としてウェビナー(訳者注:オンラインセミナーの一般名称)が定期的に開催されている
3. カスタマーのコミュニティへの貢献に対し報酬を与えたりお祝したりする手段として、ゲーミフィケーション(訳者注:ゲーム的な要素)が活用されている
4. プロダクトイノベーションに繋がるような、次世代プロダクトに対するアイデア、意見、希望などのフィードバックが集まる仕組みがある
5. 売上コンバージョン率やコンタクトセンター問合せ件数が大幅に改善する、スーパーファンが一般カスタマーの質問に回答してくれる仕組みがある
6. ユーザーが、注目されやすい写真やビデオを使い自分の経験をシェアすることが奨励されている
7. ユーザー同士の交流が盛んになるようなビデオ/ 写真/ ストーリーコンテストなど、カスタマーとの関わりが深まる企画が実施されている
8. 簡易アンケートなどを実施し、コミュニティの効果を定期的に測定している
9. プロダクトに関するノレッジ基盤が常に利用しやすいよう整備され、かつ最新状態に保たれるためのプロセスにカスタマーが貢献できる
10. ブランドに関するコンテンツ、トップエキスパートによるコンテンツ、ユーザー作成コンテンツ、どれであろうと、非常に魅力的なコンテンツがあることでカスタマーがコミュニティに惹きつけられている
回避すべきよくある落とし穴10項目
1. カスタマーコミュニティを限定的なパイロットプロジェクトの位置づけに留めていて、本格的に展開していない
2. カスタマーコミュニティを、主に新規カスタマーの獲得ツールとして使っている
3. コミュニティの内容が登録者限定になっていて外からは全く分からない。人は中身が見れないものには滅多に登録しない
4. カスタマーコミュニティを開設して数か月たっても存在を公に宣伝していない
5. コミュニティプラットフォームを選択する段階で、そもそも誰が管理者/コミュニティマネージャになのか決まっていない
6. カスタマーがコミュニティを利用するのはネットワーキングが主な目的だと考えている
7.?ストラクチャーが最初から幅広過ぎて、あなたがどれだけ頑張ってもコミュニティ会員は放置された気分でいる
8. カスタマーコミュニティが有料サービスとして提供されている
9. 議論の中身が、会社のマーケティング色が強すぎて、カスタマー不在感が強い
10. 対象となる参加者があまりに少ない
以上、それぞれの10項目でした。
もっと知りたいですか? ぜひ。宜しければ、NetApp社やSONY Europe社のような強力なブランドをもつ企業がオンラインコミュニティを改革してカスタマーをトリコにした事例をご参照ください。