カスタマーサクセスの世界では、皆さん本当に良い人ばかりだ!と感動することが多くて嬉しいです。皆さん、定義により、相手の成功に想いを馳せることができる(他利の精神がある)人たち、かつ色んな人を巻き込みながら新しいことに挑戦するのが性に合ってる人たちだからだと思います。
そんな感動の1つで知り合ったのが Ellie Wuさん(上の写真)。
私がCSフォーラムで質問を投稿した時、全く面識もない私にすぐ丁寧なアドバイスを返してくださり、以来やり取りさせてもらう個別メッセージもいつも丁寧かつフレドリーです。
彼女はCSの経験・知識も豊富で、CSに関する記事やインタビュー動画など精力的に発信しています。私は今ではすっかり彼女の投稿のファンで、いろいろ学ばせてもらっています。
今回は彼女の最近の記事の中から、老舗なカスタマーサクセスイベントの1つ「CustomerSuccessCon」の参加レポートを2本ご紹介します。
CustomerSuccessConは前に記事で紹介したカスタマーサクセスアソシエーション(CSA)のエグゼクティブディレクター であるマイケルさんが主催し、歴史と質の高さから米国CS業界で知らない人はいないイベントです。私もいつか参加したいですが今年はエリーさんのレポートで擬似参加しました。
個人的なテイクは、以下の通りです。
・CSチームの64%が売上責任を持っている → CSチームは収益性を議論できなければならない!
・CSはIOTの世界へ染み出している! ←嬉しい! >日本のモノづくり会社、頑張ろう!
・CSシニア責任者の2年内離職率は非常に高い(60%!)← 回避の知恵・教訓は要チェック!
・ロゴ(会社)リテンションは一時的慢心を招く指標 → “ロゴリテンション”メンタリティは即捨てよ!
そして、”バンドエイド的なCSM“という表現は面白い!と膝を叩いてしまいました。
注:PICTURECSファウンダー Ellie Wuさんの許可を頂き原文(Seattle・West)の和訳を紹介します。
CustomerSuccessCon Seattle 2017年10月16日
年初に、カスタマーサクセスアソシエーション(CSA)のエグゼクティブディレクター マイケルさんが主催される CustomerSuccessCon West に参加し、それ以降ワクワクして待ち望んだイベントCustomerSuccessCon Seattle に先日参加してきました!
CSC Westは、CS エグゼクティブ とCSチームのトレンドに焦点を当てていましたが、今回のシアトルではスピーカーがとにかく素晴らしいラインナップだったこともあり、同トピックの議論が更に発展して、とても収穫の多いイベントでした。
そこで、今回学んだポイントを3点に絞り、皆さんへご紹介します。
1. カスタマーサクセス産業のトレンド
・多くのカスタマーサクセスチームが売上(共同)責任をもっている、つまり CSチームは “収益性” を議論できなければならない!
・ 64% のCSチームは売上の(共同)責任を持つ
・36%は売上責任を全く持たない
・カスタマーサクセスはソフトウェアの世界から染み出しつつある!
プロダクトの利用情報が続々提供されるIoTの世界など、カスタマーサクセスはSaaS以外の産業へ進出中。 IoTデータは活用すればカスタマー体験が劇的に向上し、カスタマーへ成果をもたらす能力も向上するので、まさに活用機会が豊富な宝の山。この点は記事「IoTのカスタマーサクセス戦略」をご参照ください。
・カスタマーサクセスの定義は依然いろいろ有り。CSC West で議論されたトレンドに未だ変化なし。今回シアトルで経験と教訓を率直に共有してくださった Mark Pecoraro と Kia Puhm に感謝します。
2. カスタマーサクセスリーダーのデータ活用法
データ分析を梃に影響力を高めようとするカスタマーサクセスリーダーほど 成果をだして成功する:
・たとえば、担当アカウントを非担当アカウントと比較し、前者の売上が 対前四半期 20%増なのを示す
・それだけ魅力的なビジネスケースを提示できれば、CSへの追加リソースはもう約束されたようなもの
Gainsight社の CS ディレクターである Ruben Rabago のアドバイス:
・契約前に、実装チームとCSチームが「カスタマーの準備度スコア」を計算する方法を共有
・同スコアがあれば、あなたのチームはカスタマーと期待値をうまく調整できる
・潜在ギャップが明らかにさえなれば、あとはチームで対処計画に同意するのみ
The Success League社のファウンダー兼CEOである Kristen Hayer のアドバイス:
・チームで活用する指標は3つの箱(チャーン/リテンション、エクスパンション、CSAT)に分類すべし
3. あなたのカスタマーのライフサイクルで大切なこと
・カスタマーのライフサイクル全体(オンボード > アダプト > 成長 > 更新)で最も難しい要所を特定する
・カスタマーとの受身的・能動的タッチポイントを全く新しいものへ革新し、リスクを抑えて機会を生かす
・どこを自動化し、どこにCSMを組み込むか、最適なタイミングを特定する
Leadspace社の カスタマーサクセス担当役員 Sherrod Patchingからの追加ヒント:
・営業からの引継ぎ時に競合他社のレビューを共有すること。恐らく直ぐ確認したくなるでしょうから
・最初のエグゼクティブ・ビジネス・レビュー(EBR)は6ヶ月後。それだけあれば、カスタマーへ大きな成果を提供するのに十分
・EBRなどの戦略会議の日時を決める際は、先方の意思決定者が参加することを必ず確認すること。もし不参加なら、会議の開催は時間の無駄です
プロダクトの不具合を補うバンドエイド的なカスタマーサクセスは恐ろしくナンセンスな戦略。最高のプロダクトやサービスは、カスタマーが継続的に価値を出せるようカスタマーサクセスがサポートして初めてその真価がフルに引き出される。
CustomerSuccessCon West 2017年1月12日
1. カスタマーサクセスの現状
・カスタマーサクセス業界は減速の兆しが全くない!
カスタマーサクセスアソシエーション(CSA)サイトへの新規訪問者は75,000人で、最もアクセスある頁は「カスタマーサクセスの定義」だそうです。つまり、多くの人が、カスタマーサクセス(CS)とは何か、どうあるべきか、何をすべきか、を未だ試行錯誤中ということです。 同時に、CSチームで使える有用な情報、ツール、トレーニングコンテンツを探している組織も沢山あります。
2. カスタマーサクセス責任者の離職率
・CSシニア責任者の2年内離職率は非常に高い(60%)!
その一般的な原因は、期待値とリソース配分とのミスマッチ。参加したカスタマーサクセスリーダーは、「どうした、何をした」という過去からの学びから、 教訓的な話や鋭い指摘を共有してくれました。
企業文化:組織間に健全な緊張感とウィン-ウィン関係になるような共有目標はある? 企業のタイプは(プロダクト主導、セールス重視、カスタマー中心)?
同じ階層の同僚:彼らは”カスタマーフォーカス”をどう強化しようとしている? 彼らのチームがカスタマーとやり取りする時の基本的な姿勢は? CFOは各組織の人数と責任について現実をおさえている? 営業の成果報酬制度はカスタマーとの長期的な契約関係に繋がるよう調整されている?
オーナーシップ:カスタマー体験を左右するあらゆる要素の方針決定(定期売上に加え、サポート、サービス、およびトレーニングなど)にあなたは関与できる?
3. カスタマーサクセスチーム
・いかにカスタマーサクセスチームをスケールさせるか?は、カスタマーサクセスの急成長に伴う超ホットトピック!
知識と経験が豊富で自信もあるリーダーの存在がカスタマーサクセスチームの活気と成否を大きく左右。
ミッション:CSチームへの期待値は明確? 主要責務は、チャーンとの格闘?それとも 価値デリバリーの爆速化? SME対策?それとも 大口アカウント管理?
ピープル:カスタマージャーニーに合わせてCSMへ投資すること。カスタマーを深く理解し、信頼され、そして結果を出す、このサイクルを確立して進化させる
グロース:特化した役割(すなわち、エネブルメント、コミュニティ、マーケティング)は、スケールの第一歩。 テクノロジーを導入する前に、まずカスタマーを360度フルに理解し、ミッション、人材、プロセスをカスタマーへ合わせること。人工知能(AI)は、リソースの代用/方向づけに役立つが、完全な置き換えにはならない。
我々は「カスタマーサクセス」の定義と「カスタマーセントリック」の意味合いを引き続き検討する。各社は、プロダクトポートフォリオの進化に合わせ、カスタマーポートフォリオを最適化する必要がある。
“ロゴリテンション” メンタリティは捨て、そろそろ現実に目を向ける時。なぜなら、売上が減少するのはチャーン問題が解決されていないということであり、ロゴのリテンションは一時的慢心を招く指標だから!