カスタマーサクセスをスケールさせ、ROIを最大化する方法に「アドボカシー(口コミ)マーケティング」があります。
実際の施策はマーケティング部門が主導するとしても、口コミしてくれるほど良好な関係を既存カスタマーと築けていることが前提なため、カスタマーサクセスチームが良い仕事をしていること、そして両チームが連携することが必要不可欠です。
米国では今、この「口コミ」をより積極的かつ効果的に推進する「アドボカシー・プログラム」の方法論について、多くの人が関心を寄せています。先の投稿で紹介した、SaaStr社のCEOジェイソンさんが叫ぶ「カスタマーサクセスの次の波:カスタマーマーケティング」でも、このアドボカシープログラムが重要な役割を果たします。
今回は、ジェイソンさんが上述の投稿で「既存カスタマーの口コミネットワークを育てて大きくするのに便利なプロダクト」として言及した注目の会社、Influitive社の記事をご紹介します。カスタマーサクセスな方だけでなく、マーケティングな方にも(こそ?)ぜひご覧頂きたい内容です!
注:Influitive社の許可を頂き原文の和訳を紹介します。
アドボカシー・プログラムを立ち上げるために克服すべき3つのハードル
良いことなので ”すべきだ” と思われてることって山ほどありますよね、例えば、フロスを使うなど。
えっと… 告白します。私はほとんど… いや一度も、かつてフロスを使ったことはありませんでした。
歯医者さんから、フロスを使わないと虫歯ができて歯医者のお世話になるぞ、と何年間も言われ続けたのに、です。で、約25年後、彼は正しかったことが証明されました! 私は20年代半ばの時、1.5年間で2つの虫歯を直すハメになりました。
以来、私は毎日フロスを使い続けています。結果、虫歯はなくなりました。
何が言いたいかと言うと、昔の私にとってのフロスは、モノを販売した後のマーケターだ、ということです:即ち、すべきなのが明白なことがある… のに、(大抵)やらない。
なぜか?
それは、彼らがあまりにも甘いスナックを食べるのに忙しくて歯を磨く時間がない… いや間違えました。彼らがあまりに新規カスタマーの開拓に忙しすぎて、既存カスタマーをフォローして口コミしてもらうようし向けることに時間を費せないからです。
アドボカシー・プログラム:マーケティング担当にとって主要なコンピテンシー
IDC社の2016年調査によると、「アドボカシー・マーケティング」は、近代マーケティングの成功に必須なコンピテンシーTop5のうちの1つです。
B2Bベンダーの実に87%は「アドボカシー・マーケティングはわが社の成功にとって重要だ、ないし非常に重要だ」と回答しています。(アドボカシー・プログラムのROIなどレポート詳細はこちらをご覧ください)
にもかかわらず、同IDC調査によると、B2Bベンダーの90%は「アドボカシー・プログラムがない、または担当者もいない」という事実が明らかになりました。
その理由に関する回答から、アドボカシー・プログラム立ち上げの障害となっている以下3つのハードルが浮かび上がりました。
1)口コミしてくれるカスタマーが不足、または口コミに無関心
2)口コミの重要性に対する社内の関心・協力が不足
3)口コミの推進に必要なスキルをもつ人材が不足
この3つのハードルをどう克服すべきか学ぶため、アドボカシー・プログラムを長年にわたり何度も立ち上げ、リードしてきたアドボカシー・マーケティングの専門家の意見に耳を傾けました。
アドボカシー・プログラムへの参加を増やす方法
口コミしてくれるカスタマーが不足、または口コミに無関心、ということはありません。 あなたのプロダクトを使うことに幸せを感じるユーザーが1人でもいれば、それは口コミ予備軍がいるということです。
欠けているのは、口コミしてくれるカスタマーではなく、彼らが参加したいと思うような魅力的なアドボカシー・プログラムを考える方法論です。
アドボカシー・プログラムの推進に成功してきたマーケティング担当者が、口コミしてくれるカスタマーと協業してプログラムをつくったことで効果が実証済み方法論を以下にご紹介します。
1)口コミしてくれる既存カスタマーに、彼ら同士が繋がれるキッカケを提供する
GoGuardian社のコミュニティ・ソーシャル・メディア・マネージャーの アレックス・ワーグナー氏は、同社のアドボカシー・プログラムのベース作りとして、口コミ者どうしを個人的につなげる仲介役を買って出ることが重要だと言います。曰く、
“『口コミへの無関心』は、ディスカッションボードやダイレクトメッセージングを通じて、彼らと心から近しく関わろうとすることで克服できます”
口コミしてくれる人は、あなたの会社の社員とだけでなく、口コミしてくれるカスタマー同士とも対話できる機会があると、口コミへの関心がより高まります。 カスタマー同士を繋ぎ、彼らが新しい関係を築けるようなアドボカシー・プログラムを提供できれば、彼らは喜んで参加してくれます。
2)口コミしたくなるよう全力を尽くす
口コミに協力してくれる既存カスタマーへ、推薦文を書いたり知り合いの紹介を依頼する前に、まずは、彼らに対しきちんと口コミに協力することのメリット(付加価値)を提供してください。
Namely社のコミュニティ・マーケティング・マネージャーのエイミー・ローゼンバーグ氏は次のように言います。
” 口コミしてくれるカスタマーが、口コミへ興味を持ち、頼めばいつでも口コミしてくれる状態にするため、 新たな資格認定やプロダクトアップデートなど、彼らにとって大きなメリットになる活動や、学びのあるフィードバックをすることは必須です (同社のアドボカシー・プログラムの詳細はこちらをご覧ください)”
3)余計な時間と思わせず、逆にメリットを明快に強調する
ADP社のシニア・戦略アナリストの サラ・ラム氏は、「さあ、スポットライトを浴びましょう!」、「プロフェッショナルなプロファイルを強化しましょう!」などの言葉で、口コミに協力することの利点を明快に説明します。
要は、短い言葉で、分かりやすく、ハッキリと口コミの依頼をすることが鍵です。サラ曰く、
” 依頼内容が理解されずにスルーされる事態を回避するため、なるべく短く魅力的な言葉で説明するよう常に努めています。加えて、依頼する時は必ず所要時間をハッキリ伝え、それ以上にならないことを約束します。”
彼女はまた、最初はごく簡易で時間もかからない口コミの依頼をし、徐々により大がかりで時間もかかる口コミ活動を依頼していくこともお勧めだと言います。
4)人として接する、そして楽しい時間にする
Hero K12社のカスタマー・マーケティング・マネージャーの ジェシカ・ミッチェル氏は、興味をひきそうな楽しい口コミキャンペーンと一緒に口コミの依頼をします。曰く、
” 楽しくて、かつ学びもある活動とセットにして依頼することで、口コミしてくれる人の関心を引きつけます。”
彼女は、カスタマーの予定表や、奇妙な休日、またはカスタマーの実生活の中で起きている事柄に紐づけたキャンペーンを企画しています。
口コミ・プレゼントキャンペーンの例
また彼女は、口コミしてくれるカスタマーと個別に会い、彼らが彼女や会社に対しより親近感を覚えてくれるよう努めます。曰く、
” 私は、1人の人間として彼らを知ろうと努力します。彼らが幸せな気持ちになるよう、期待以上のことをすることに全力を尽くします。”
口コミしてくれるカスタマーは、特別な存在であるという気分になることを好みます。ですので、あなたの会社やそこで働く人たちと会って親近感を持ってもらうことは、自分たちが特別であるという印象をもたらす上で非常に重要です。
彼ら自身について質問をしたり、あなたの人間性が感じられるちょっとした形式ばらないメモを送ったり、「舞台裏」の最新情報を共有したりすれば、口コミしてくれる人たちとより強い繋がりを築くのにとても役立ちます。
5)何があれば口コミに興味が沸くか直接質問する
どうすればカスタマーが共鳴し、口コミしてくれるか分からない場合、直接彼らへ質問し、具体的なアイデアを教えてもらいましょう。
Oldcastle社のコンテンツ・マネージャーの、ナタリー・ガラット氏は次のように言います。
” 私がカスタマーに口コミしてもらうために実行した方法はたった1つです。それは、定期的に直接希望を聞くことです。そうすることで、彼らに対し期待以上のメリットを提供できました。”
プログラムの具体的な活動、コンテンツ、キャンペーン、コンテスト、特典などに関する素晴らしいアイディアは、実はカスタマー自身から発案されるのです。
6)口コミへの関心を失われたら… いつでも復活させられます
口コミしてくれるカスタマーが口コミすることに関心を失った様に見えても、それは、もう口コミしたくない、という意味ではありません。あなたからもう一度口コミに誘う必要があるだけです。
Billtrust社のマーケティング・コミュニケーション・スペシャリスト、ブリトニー・コリア―氏は次のように言います。
” Eメールキャンペーンを活用し、口コミ・プログラムに登録していながら、めっきり口コミしなくなった弁護士に対し、特別な報酬付き口コミ・プログラムを提案します。”
特別なメモを送って口コミ・プログラムに対するフィードバックをお願いすると、彼らは再び関心を寄せてプログラムに参加してくれます。そうなれば、なぜ彼らが興味を失ったのかも学べます。復活キャンペーンは、口コミしてくれるカスタマーの嗜好性を学び続けるために、口コミ・プログラム戦略の中で継続的に行うものとして位置付けるべきです。
7)口コミしてもらったら最高のタイミングでお礼しその行為に報いる
カスタマーが速攻で確実に興味を失うのは、何もギブせず、欲しいテイクだけした時です。彼らがあなたのために何かをするたび、必ず彼らに感謝するか、彼らの行為に報いましょう。
報酬は、あなたからのメモ、小さなプレゼント、小さなギフトカードなど、物理的な手段の場合もありますが、最も効果的なのは、カンファレンス・パス、経営チームメンバーとのミーティング、注目を集める事例(ケーススタディやブログなど) の開発 のような、専門的な内容のもののことが多いです。
MongoDB社のデベロッパー・アドボカシー・シニアマネージャーのフランチェスカ・クリヘイ氏は、口コミしてくれたカスタマーには、小さなプレゼントから特別な人限定の経験に至るまで、幅広い種類の報酬を用意して提供し、口コミし続ける動機付けをしています。同社の口コミ・プログラムでは、口コミが大規模になるほど、報酬も大きくなります。
アドボカシー・マーケティングの障害になる社内の軋轢を克服する
ここまでご紹介したエンゲージメント戦術は、あらゆる口コミ者から関心を集めるでしょう。
一方、アドボカシー・プログラムは、 口コミ者だけでなく、あなたの会社の社内連携や社内リソースが得られなければ、効果的なものにも、戦略的価値をもたらすものにも、口コミ者の関心を引きつけるものにもできません。
以降は、アドボカシー・マーケティングのプロによる、社内連携に成功するためのヒントをご紹介します。
8)アドボカシー・マーケティングの価値を社内へ正しく伝える
会社が、アドボカシー・プログラムに参加してくれるカスタマーなんていないだろうと思い込み、その価値を信じてくれないことがあります。
Cisco社のカスタマー・アドボカシーEMEAR責任者のクリスティーナ・メルリュッツィ氏は、実際に候補者がいることを証明するのがお勧めだと言います。曰く、
” 私たちは、シスコを愛し過ぎて、シスコのブランドマークを自分の身体にタトゥーしてしまった人たちのコラージュを作りました!”
心配しないでください。タトゥーまでしてくれるファンは必須ではありません。
以下のようなところでファンを見つけられます:
1. レビュー・ウェブサイト(熱心なスターレビューアー4〜5人を見つける)
2. オンライン・コミュニティで最も活発に発言している人
3. ソーシャルメディアでの頻繁に発言する人
4. NPSに最も高い得点をつけてくれた人
5. ユーザーイベントやカンファレンスに参加してくれた過去の参加者リスト
会社の経営幹部チームに対し、ファンからのイメージやコメントを共有することで、口コミしたくて待っているファンがいることを知らせましょう。
9)口コミしてくれるカスタマーの人物像(ペルソナ)を理解する
Dexter + Chaney社のカスタマー・コミュニケーション 担当、キャスリーン・オラジオ氏は、アドボカシー・プログラム全体をカスタマーニーズに合わせることで、全社が彼らのニーズ、欲求、好みを理解できるようにします。曰く、
” 私たちは最近、ブランド・アドボケート・ペルソナ法を習得し、4つの異なる人物像(ペルソナ)を特定しました。各人物像をよく理解し、彼らが口コミに協力してくれる動機や、逆に不満を抱え続けていることについて深く理解したため、課題に対しより戦略的に対処できました。私たちは彼らの気持ちが刻々変化するのをキャッチアップし続けます!”
10)アドボカシー・マーケティングに関する説明会ツアーを展開する
SAS Institute(Canada)社のアドボカシー・マーケティング・スペシャリストであるナターシャ・ウラノフスキ氏は、社内の協力をとりつける鍵はアドボカシーの社内教育を何度も何度も展開することだと言います。曰く、
” 社内の協力を仰ぐ際の障害を克服するため、私たちは各部門に赴いて個別に説明会を行うだけでなく、全オフィスの従業員を集めた大規模な説明会も行いました。そこで、アドボカシー・マーケティングが実際どう機能するか、加えてより重要な点、即ちそれが1人ひとりにとってどんなメリットがあるのかをしっかり伝えました。”
社内の人にプログラムへ参加する機会を提供すれば、会社全体が口コミしてくれるカスタマーのことを常に思うようになります。同時にそれは、口コミしてくれるカスタマーにとっても、あなたの会社の社員と繋がる機会や、あなたの会社や事業について学ぶ機会が増えることを意味し、彼らにとってよりワクワクする機会になるのです。
ナターシャは更に次のようにも言います。
“私たちのもとには肯定的なフィードバックが数多く寄せられています。とても多くの部門や社員の方たちが、私たちのアドボカシー・プラットフォームに参加し、目標到達に貢献し、イベントをプロモートし、メンバーから貴重な情報を得ようと、私たちへ連絡してきてくれます。”
11)強力なスポンサーを見つける
InTouch Health社のマーケティング・オートメーション・マネージャーの クリスティーナ・ズニガ氏は、アドボカシー・プログラムを支援してくれる役員クラスのスポンサーを見つけ協力してもらうことが、同プログラムに必要なリソースを確保するのに有効だと言います。曰く、
” 予算が縮小されたり、優先順位が他案件とバッティングした場合、アドボカシー・プログラムの ROIが高いことを理解してくれている役員クラスのスポンサーがいれば(理想的にはそれを証明する報告をするのがベターですが)、同プログラムの実行予算を維持し、また場合によって増やしてもらうことも可能です。”
12)プログラムの価値を実証する報告を定期的に行う
努力の成果を上級役員へ定期的に報告していれば、同プログラムの実行予算や社内の協力を継続的に得ることができます。
Signifyd社のカスタマー・エクスペリエンス・マネージャーのクリス・ブー氏は、マーケティングチームとのQBRセッションを四半期ごとに行い、 口コミ・マーケティングが計画通りなこと、そして目標達成にむけ予定通り進捗していることを定期的に報告しています。
先に登場したジェシカは、アドボカシー・プログラムの月次レポートを作成し、前月と比較した当月の成果をしっかり伝えています。
社内キーマンをアドボカシー・プログラムへ巻き込む
アドボカシー・プログラムを最優先で立ち上げるのに役立つ記事が他にもあります。以下をご参照ください:
1. 様々な業界や職種におけるアドボカシー推進ガイド
2. アドボカシー・プログラムに関する最も一般的な質問
3. アドボカシー・プログラムへ社内キーマンを巻き込む方法
4. アドボカシー・マーケティングのリソースを確保する方法
5. アドボカシー・プログラムへ同僚を引き込むためのヒント
他に役立つヒントがありますか? 社内で障害となる別の問題がありますか? あれば是非コメントでお知らせください!