プロダクトマネジャーとカスタマーサクセスが最高の戦友になる理由

先の投稿「サクセスマネジャーとプロダクトマネジャーの協働のカタチ」は、プロダクトと日々やり取りのあるカスタマーサクセスマネジャーさんから好評でした。

 

今回はそもそもの、プロダクトマネジャーとサクセスマネジャーの距離感や、協働にどんな意味があるのかという記事を、前後しましたが紹介します。普段プロダクトとのやり取りが薄いサクセスマネジャーさんでも「なるほど!」と思う所があるのではないでしょうか。

 

いずれにしてもプロダクトとサクセスは切っても切れない関係に近づいているようです!

 

注:Wootric社の許可を頂き原文の和訳を紹介します。


 

1853年、米国人マシュー・ペリー・コモドールは日本幕府に対し日本の港の貿易開放を強く要求しました。それまで日本は200年間、西洋諸国から隔離する政策を採ってきましたが、孤立を死守していた日本でさえ、産業革命の洗礼を受け、貿易の利益を無視できませんでした。

 

プロダクトマネジャーやカスタマーサクセスマネジャーにとり、この歴史からの教訓は何でしょうか?

 

多くの企業で、それぞれの部門は独立した幕府のような存在です。各部門の責任者は自分が支配するオフィス空間のパッチを持ち、各王国は隣の王国を多少疑っています。

 

Hubspot社の企業役員調査「Smarketing of Power」によると、営業とマーケティングがお互いを記述するのに使う用語の87%は否定的な言葉でした。

 

リスク承知で敢えて言います。プロダクトマネジャーがカスタマーサクセスマネジャーに対して抱いている気持ちは暖かくも優しくもありません

 

プロダクトマネジャーのあなたは素晴らしいプロダクトを開発しました。そのプロダクトを購入したカスタマーの誰かがその使い方を理解できないからといって、それがどうしてのあなたのせいなのでしょう?

 

安心してください。誰もあなたの頭に19世紀のシェル銃をあてたりしません。でも、カスタマーサクセスに対しあなたの国境を解放することは、あなたが今後、生き残り繁栄するための唯一の方法です。

 

今日はプロダクトマネジャーのあなたが、なぜカスタマーサクセスと手を組むべきかの理由を説明します。

 

B2BのSaaS業界で新しい重要な規律が生まれています。カスタマーサクセスは、カスタマーとの関係を最適化し、プロダクトの利用・採用を拡大し、チャーンを減らすのに大いに貢献します

 

カスタマーサクセスマネジャーは、プロダクトマネジャーがプロダクトを開発し、改良し、更新するのを手助けしてくれる大変ユニークで有難い存在です。

 

さあそれでは、あなたがカスタマーサクセスと上手くやる方法をご紹介しましょう。

 

正しいフィードバック主導のプロダクト開発

プロダクト開発には「プロダクトの死のサイクル」として知られる現象があります。どういうことかというと、事業主が誤ってカスタマーに「なぜ私のプロダクトを使わないのか?どんな機能が必要か?」と尋ねてしまい、カスタマーの答えに応じて機能をどんどん追加し「新機能の誤り」の罠に陥る、というものです。

 

棺桶に最初に打つ釘は、すべてのカスタマーに聞いてしまうことです。 次の釘は、彼らの話に耳を傾けてしまうことです。

 

もちろん、カスタマーの声に耳を傾けることはとても重要です。それこそがプロダクトの市場適合性を高める方法です。しかし、全員のニーズに耳を傾けてはいけません。成功するプロダクトを作るには、ターゲットとして理想的なカスタマーが必要なものに注力する必要があります。

 

カスタマーサクセスマネジャーの仕事の一部は、会社全体が理想的なカスタマーに注目し、どんな部門に所属していようとも、誰もが彼らを引きつけ維持することに全力を注ぐようにすることです。

 

プロダクトマネジメントにおいてそれは、理想的なカスタマー、即ちプロダクトを愛し実際に価値を見出す準備ができている人から、カスタマーサクセスマネジメントまたはカスタマーを開拓する創業者によって集められたフィードバックのみに注目することを意味します。

 

何を望んでいるのかわからないカスタマーからのフィードバックを記録する余裕はありません。みんなを喜ばせることはできません。プロダクトマネジャーは、理想的なカスタマーからのフィードバックのみ集めることで、追加機能の優先順位を付け、既存プロダクトのロードマップを作ることができるのです。

 

リテンション、アップセル・クロスセルに繋がるオンボーディング

カスタマーサクセスは、プロダクトマネジャーが、カスタマーが期待成果に到達できるオンボーディングのプロセスを設計するのを手助けしてくれます。オンボーディングプロセスが最適化され、どのようなカスタマーセグメントでも目標達成できるものになれれば、リテンション率は急上昇します(30〜60日後に現れる典型的下降点をはるかに凌駕します!)。

 

しかし、プロダクト開発者はプロダクトに精通しすぎているため、カスタマーの最適なオンボーディング体験に何が必要かわかりません。ここでカスタマーサクセスの登場が求められるのです。

 

ネットプロモータースコア(NPS)調査は、プロダクトが「マストなもの」になるには何が必要かを紐解くのに非常に有用です。NPS調査はプロダクト部門やその他の部門が行うこともありますが、カスタマーサクセスもまたNPS調査を実施し継続的にフィードバックを入手しています。

 

プロダクトマネジャーはNPSの結果をプロダクト開発チームに渡し、プロダクトのどこを改善すればカスタマーがリテンションし、さらにアップセル・クロスセルに繋がっていくかを検討するのに役立てます。

 

無料トライアルの最適化

オンボーディングと同様、無料トライアルでも、見込み客によい結果を示せれば有料顧客にシフトしてくれる可能性が高まります。セグメント別のカスタマーの「成功」をカスタマーサクセスチームが正しく認識できれば、プロダクト開発チームが必要な無料トライアル経験の最適化に向けた情報を取得できます。

 

新規顧客獲得コストの削減

プロダクト開発がカスタマーサクセスから情報を得る利点は、リテンション率の向上(チャーン率の低下)です。

 

ポイントは、成功したカスタマーは単にリテンションしてくれるだけでなく、周囲に口コミもしてくれる点です。 彼らは友人や同僚と成功を分かち合い、クロスセルの機会や口コミ紹介で新規の見込み客もつれて来てくれます。そういったことがすべて、新規顧客獲得コスト(CAC)の削減、ひいては収益性の向上に大きく寄与します。

 

リテンション率を引き上げる(&プロダクト開発の負荷を軽くする)

カスタマーがプロダクトを使って成功(or 失敗)するかどうかは、プロダクトマネジメントの負荷にも影響を与えます。つまり、カスタマーからのサポート依頼に対応したり質問に答えたりなど、何か「技術的なこと」への問い合わせに関わる負荷です。

 

カスタマーサクセスは、プロダクトに関することだけでなく、プロダクト「外」のこともカスタマーが学べる教材を提供することで、プロダクトチームの負荷軽減に貢献します。

 

“ちょっと待って。プロダクト「外」って何?” って言いました? そうですプロダクト「外」です。それは「成功ギャップ」という言葉で表現される考え方です。つまりプロダクトと実際の成果との間に存在するギャップです。

 

たとえば、AdEspressoはFacebook広告のプラットフォームですが、彼らのカスタマーの成功は、Facebookに広告を掲載することではなく、広告を見た人が彼らの商品を購入してくれることです。そして、そのためには単に広告を掲載する以上のことが必要です。

 

即ち、ビジュアルデザイン、コンテンツ戦略、ランディングページ戦略など、見込み客がFacebook広告を見てから購入ボタンを押すまでの間の仕組みに関するあらゆる知識が必要です。

 

これらの内容を教えることは、AdEspressoが費用を請求できることではありませんが、彼らはそれを自分たちの役割だと認識し、AdEspressoアカデミーを用意しました。そこで効果的な広告を作る方法をユーザーに教え、プロダクト内の体験と実世界での成功の間の「成功ギャップ」を解消したのです。

 

スマートビジネスのカスタマーサクセスマネジャーは、「成功ギャップ」の克服ポイントを理解できるよう、一人ひとりのカスタマーの成功基準を把握し、常に彼らの一歩先をいきます。そうすることでカスタマーサクセスチームは、サポート部門やプロダクト部門へ質問が届く前に、先行して質問に答え、解決策を提示できるのです。

 

カスタマーサクセスを伴うカスタマーサポート

プロダクトマネジャーは、ユーザーがプロダクトの機能をサクサク使えるようになることが「成功」と思うかもしれません。

 

「成功ギャップ」が生じる場合、必ずしもそうとは限りません。プロダクトをサクサク使えているにもかかわらず「成功」できない場合があるということです。

 

その場合、カスタマーサクセスはサポート依頼の機会を活用し、プロダクトをサクサク使っているカスタマーがなぜ成功できていないのか理由を付き止めることができます。理由がわかれば、カスタマーサクセス、サービス、プロダクトが一体となり、根本課題が機能に関することなのか、その背後にある教育のことなのかを判断し、ユーザー体験を全体的に大きく底上げさせるのことができるのです。

 

「カスタマーの成功を支援するために何ができるか?」

これはカスタマーサクセスに関わる者にとって非常に深い質問です。同時に、SaaS企業で働くすべての人にとっても非常に深い質問であるべきです。すべての当事者が共通の目標の下に一丸となって初めて、成功を手にれるのはカスタマーだけでなく、あなたもその1人になれるのです。

 

(原文)

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