カスタマーの成果(アウトカム)を測定する秘訣

Strikedeckという社名を耳にしたことありますか?

 

Gainsight社と同じくカスタマーサクセスの推進をサポートするソリューションを開発・提供する会社です。G社より小規模ながら、小回りのきくソリューションと積極的なマーケティング活動が特徴で、日本にオフィスはないものの実は既に純粋日系企業のお客様をお持ちです。

 

そんなStrikedeck社の創業者でありCEOの シュリーシャさんは、高校生のお嬢様が日本に留学中ということもあり、大の日本びいきです。Customer Success Japanに対しても当初から全方位で協力してくれていて、本当に有難い日本のメンターのような存在です。

 

今回は、そのシュリーシャさん自身が執筆した記事をご紹介します。「カスタマーの成果をどう定義し、どう測定するか」という古くて難しいテーマですが、その秘訣3点をズバっと言い切ってくれていて分かりやすい内容です(とはいえ、それを実行するのが難しいのだ、という声も聞こえそうですが… )!

 

注:著者 Shreesha氏の許可を頂き原文の和訳を紹介します。


 

カスタマーKPIを測定することがなぜカスタマーサクセスマネジャーにとって難しいのか?

 

あなたがもしカスタマーの「KPI (Key Performance Indicator)」を計測していないなら、あなたはカスタマーと一緒に、彼らの事業を評価する指標について深い議論をすることができません。

 

カスタマー対応を専門に担当する人にとり、信頼性高い業績評価手法である「KPI」を計測することは非常に重要なことです。

 

同時に、KPIは事業目標を設定するのにも役立ちます。事業目標を明快なKPIとして設定し数値を計測し続ければ、カスタマーが成功しているかどうかが、カスタマーはもちろん、社内ステークホルダーの誰にとっても一目で分かるようになります。

 

更に、事業目標を構成要素に分解しそれぞれKPIを設定してその測定値をプロットし続ければ、プロダクトやサービス(とその後のインパクト)のカスタマージャーニーを数値として見える化することも可能です。

 

そういったメリットのとても多いKPIですが、それを計測するには陥りやすい落とし穴があり、計測プロセスを考える際は注意が必要です。以下に、落とし穴に陥らないための秘訣を3点ご紹介します。

 

1. カスタマーにとっての成功= “成果” とそれに対応するKPIをカスタマー関係者を巻き込み定義する

 

「成果は何か」、「それをどのKPIで測定するか」を、あなたではなく、カスタマー自身が明確に定義することが非常に重要です。もしそうできなければ、それは大きな課題です。つまり、カスタマー自身が何がどうなってるのか理解できていない、またはKPIに必要なデータの収集方法が分からない、ということであり、それは大きな問題なのです。

 

期待する「成果」は、同じ組織でも1人ひとりの考え方・捉え方によって様々に定義され得ます。

 

期待する成果を明快に定義する、ということは同時に、カスタマーが事業目標を達成する道中に直面する現実の問題に向き合うことでもあります。

 

カスタマーサクセスマネジャーは、カスタマーが「成果」について議論し、組織として合意する成果の定義を見出すプロセスに付き添い、必要に応じて議論をサポートしなければなりません。なぜなら、そうすることが、最終的にカスタマーがあなたのプロダクトを活用して事業目標を達成することに繋がるからです。

 

たとえば、検査プロセスの自動化の成果を測定するのが難しかったとします。カスタマーの議論に付き添えば、「検査プロセスをもっと簡易にしたい」という要望を理解でき、「検査プロセスでの手動介入を20%以下に抑制する」といった明快な成果指標/KPIを提案できます。

 

2. 「お飾り指標」よりも「行動に繋がる指標」を重視する

 

見栄えの良い「お飾り指標」を設定した場合、成果が上がり始める暫くの間は、カスタマーサクセスチームとしては気分が良く満足感も高いです。

 

しかし、事業への実際のインパクトが見えづらい指標だと、やがてカスタマーはあなたのプロダクトの価値について疑問を抱き始めます。なぜなら、大抵のカスタマーは自分が達成したい要件は理解していますが、その要件が満たされるとそれがどう成果に貢献するのかまで深く理解できていないからです。

 

重要なのは、計測し続ける指標は、事業上の意思決定に役立つ指標、つまりあなたが何をすべきかがハッキリする指標に限定すべきだという点です。この点において、「お飾り指標」は大抵の場合、計測の結果としてどういう行動を取るべきかが示唆されません。

 

例えば、NPSは「お飾り指標」の1つです。NPSを、プロダクトの利用状況やカスタマーサポートセンターへ届くチケットと組み合わせて分析・活用すれば、具体的な行動に繋がる情報がたくさん手に入ります。つまり「お飾り指標」は、深い分析を重ねることで、多くの実用的な情報が得られる指標です。

 

一方「行動に繋がる指標」は、カスタマーが事業目標を達成できるよう「成果」を改善するのが仕事のカスタマーサクセスマネジャーが、今日明日の行動を考えるのに役立つ指標です。

 

カスタマーサクセスマネジャーには、 カスタマー個社ごとに、データの入手可能性や彼らの求める要件などに応じて価値モデルを構築し、更に同セグメントに属する複数カスタマーから収集されたデータを活用していくことが求められます。

 

3. マイルストーンの達成度が見える化されるKPIを設定する

 

カスタマーとの取引関係が始まったら、なるべく早い段階で、ライフサイクル全体を通じて達成する目標までのマイルストーンをカスタマージャーニーマップとして設定しましょう。 カスタマーサクセスマネジャーは、マイルストーンを設定し可視化することで、プロダクトの価値活用の進捗状況をカスタマーに対し視覚的に示すことができます。

 

実際、カスタマーが期待成果に辿りつくまでの道のりを解明し一連のマイルストーンとして構造化するという手法は、優れたカスタマージャーニーマップを設計する方法の1つです。

 

ここで注意すべきは、必要な要件はカスタマー毎に異なるため、複数のアカウントを管理するカスタマーサクセスマネジャーは、アカウント毎に違うKPIを注視する必要があるという点です。

 

更に、「何を」よりも「なぜ」そのマイルストーンの達成度を測定すべきかを理解する方がずっと重要です。なぜなら「なぜ」への答えこそが事業成果に直結するからです。繰り返しますが「何を」測定すべきかはカスタマーによって異なります。

 

(原文)

 

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