プロダクトの利用データが入手できなくてもカスタマーサクセスは可能です!という、Gainsight社のCEOニック・メタ氏による記事です。
誤解が多いので繰り返します。SaaS事業でなくても、オンプレ事業でもカスタマーサクセスは有効かつ実行可能です!
具体的な方法を紹介する後編「オンプレミス事業でカスタマーサクセスを推進し売上・利益を拡大する方法」もぜひ併せてご覧ください!
注:Gainsight社の許可を頂き原文の和訳を紹介します。
利用データがない時のカスタマーサクセス:大きな声で語られないSaaSの秘密
皆さんに言わなければならないことがあります…? SaaS事業でない方にはショックかもしれません。
私はこれまで様々なご縁で、何百人、何千人というB2B事業リーダーとお話しする機会に恵まれました。金融サービス、ヘルスケア、オンプレミスのソフトウェア、ハードウェアやデバイスメーカーに至るまで様々な事業を展開する企業の方です。
“カスタマーがプロダクトをどう使っているのかすべてを把握できるSaaS企業の実務は常に一歩先を行ってますよ”(あるイベントで聞いた発言そのままです)
SaaS事業リーダーの大半を存じ上げる身として、私はこういう発言を丁重に笑顔で受け入れます。一方、心の中では「彼らがそれを聞いたら笑うだろうな」とも思います。真実は時に邪魔な存在です。
1. クラウドベースのSaaS事業を展開する企業の多くは「利用データ」にアクセスできていません
2. カスタマーと日常やり取りするチームが欲しいデータは基本的に手元に無いため、都度エンジニアリングを余儀なくされることは日常です
3. 上記2点が解消されると分かりますが、利用データが入手できたとしても、チャーン予測の精度はほとんど上がりません
クラウド事業を夢見つつ、今々は非-SaaS事業を推進中のあなたには少し衝撃かもしれませんが、最後の内容をダブルクリックしてみましょう。
Gainsight社のカスタマーにおける過去数年の解約データに基づくデータサイエンス研究結果です:
・利用されてないという事実は、常にそうでないものの、通常は解約の兆候を示唆します。しかしその逆は真でありません。沢山利用されているというデータは必ずしも契約更新を約束しません。
・プロダクトを利用する量、頻度、時間などを集計したWebスタイルの指標は、契約離脱を予測する上であまり参考になりません
・カスタマー体験に関する指標(サポート活動、サービス契約、調査フィードバックなど)と利用データと掛け合わると、予測精度が大幅に改善します
・カスタマーの関与指標(スポンサーの変更、マーケティングへの貢献、QBRの出席度合いなど)も重要な要因です。
・Boxの友人によれば、プロダクト活用状況を「質」や「洗練度」という視点で評価すると、たいてい予測精度が大幅に向上します。高度な機能、最新機能を利用しているということでしょうか?
あなたの事業がもし「プロダクトの利用データは入手不可能」でも、状況はそれほど厳しくありません。
実際、非SaaS企業とSaaS企業のヘルススコアを並べて見たとして、どの数字がどちらのグループのものかは正直ハッキリ分からないと思います。
つまり、カスタマーがあなたのプロダクトをどう利用してるか理解する方法は、クラウドに大きく依存すると思われているかもしれませんが、現実はあなたが考えるよりもずっと近くに答えがあるのです。