カスタマーサクセスの重要指標:NPSをフル活用する5つの戦略

米国では様々なツールやプラットフォームが溢れるNPS(ネット・プロモーター・スコア)ですが、カスタマーサクセス黎明期の日本では NPSをこれから導入すると企業も多いのではないでしょうか。

 

NPSの基本事項については、「NPSとは?定義や計算方法、調査用お勧めソフトウェアまで」をご覧ください。本稿は応用編としてNPSをフル活用する秘訣に関する記事をご紹介します。この5つを頭に入れておけば、NPS導入も安心して進められそうだという秘訣5つについてです。

 

注:Wootric社の許可を頂き原文の和訳を紹介します。


NPSをフル活用する方法

NPSとは、カスタマーに「このプロダクトをあなたの友人や同僚に勧める可能性はどれくらいですか?」と尋ねる非常にシンプルな質問調査です。

 

NPSは、サポート部門、プロダクト部門、カスタマーサクセス部門などの活動を通じて得られたカスタマーの満足度を把握する強力な指標です。すべての部門に関係があります。カスタマーのローヤリティに加え、企業全体がどれだけカスタマー中心に活動しているか把握するのに役立ちます。

 

カスタマーサクセスチームがNPSに細心の注意を払う理由のは、NPSの低下がチャーンのリスクを意味するためです。

 

さらに、カスタマーサクセスのプラットフォームとカスタマーフィードバックのプラットフォームを統合すれば、カスタマーヘルススコアやNPSプログラムを更にパワーアップさせることが可能です。

 

以下、Wootric社Amity社のパートナーシップに基づく事例と戦略を紹介します。どのようなシステムを使っていても実行可能なことばかりです。

 

1. ヘルススコアにNPSでエモーションを取り込む

パワフルな、アクションに直結するヘルススコアを設計する方法はたくさんあります。各種のアウトカム指標のデータや、プロダクトの利用度やエンゲージメントに関するデータなど、カスタマーの正確なヘルス状態を示すデータは多数あります。そういうデータを把握することで、あなたはカスタマーを完璧に理解していると思うかもしれませんが、もしカスタマーの感情を正確に聞けていないならあなたのヘルススコアには欠陥があると言わざるを得ません。

 

カスタマーのヘルス状態を計測するには、NPSの結果を把握するだけでは不十分で、NPSが受動水準のスコアや批判水準のスコアへと低下しそうな時に早期の警告を発するものである必要があります。

 

プロダクトの利用状況に関するデータはすべて正常なのにNPSが低い場合、カスタマーがプロダクトに価値を見い出していない可能性があります。これは赤信号です。

 

プロモータは文字通り、周囲にお勧めしたくなるほどあなたのサービスに高い価値を見出していることを意味します。そういうプロモータは口コミ紹介プログラムに進んでもらうべき人たちです。

 

2.自動機能を使ってNPSプログラムをレベルアップする

カスタマージャーニー上の各重要ポイントでカスタマーからフィードバックを入手し、NPSスコアの背景とその意味合いを理解しましょう。

 

次のタイミングで、NPSの電子メールを主なカスタマーへ自動送信します:

 

・ライフサイクル上のある段階から次の段階に移行した時、または特定マイルストーンに達した時。たとえば、オンボーディングの終了時、または利用開始後90日経過した時など。

 

・カスタマーサクセスマネージャーが同カスタマー向けの手続書を完成させた時。「リスクのあるアカウントへの対策」、または「新規エグゼクティブチャンピオンへの働きかけ」といった章が完成した時。

 

・アウトカム指標が急上昇した時、およびトレンドに突然の変化があった時

 

・カスタマーを維持できずチャーンが起きた時。チャーンしたカスタマーからのフィードバックは非常に貴重です。彼らに向け最後のキャンペーンを実施し、フィードバックをお願いしましょう

 

上記タイミングと合わせ、プロダクトのバージョンアップ頻度に応じて定期的に、たとえば90日または120日ごとに、エンドユーザーへ自動調査を実施するのも重要です。エンドユーザーの感情の脈拍を自分の指で感じていられるようになれば、次のQBRで最悪のサプライズが起きるのを回避するのに役立ちます。

 

3.ユーザーセグメント毎に異なるチャネル経由でNPS調査を送信し回答率を最大化して関係を深める

ユーザーごとに反応率の最も高いチャネルを利用することで、より多くの回答を入手しましょう。

 

重要カスタマーのキーマンへは、カスタマーサクセスマネジャーのメールアドレスから直接自動メールを送信してください。そうすれば彼らは、あなたからの連絡をよく受け取る場所、すなわち受信ボックスから回答を送信することができます。

 

Amity社では重要カスタマーへのNPS調査を送信する独自ツールを活用

エンドユーザや他のカスタマーへは、SaaSプロダクト内でNPS調査を実施してください。ユーザーのプロダクト経験に即して調査することで、より高い回答率と文脈に応じたフィードバックを入手できます。

 

Wootric社のアプリ内調査は次の通り:

 

調査回答はすべてカスタマーのフィードバックダッシュボードにリアルタイム表示されるので、読んだり、反応したり、対策ルートを決めたりするのが容易です。

 

4. NPSプログラムの結果をすばやく分析する

 

NPS調査データをエクセルで分析するのは可能ですが、大抵のSaaS企業にとりそれは大変面倒で時間もかかる方法です。通常はプラットフォーム(ツール)を使って回答を集約しデータ分析します。そうすればたとえば 主要キーマン vs エンドユーザーといったカスタマーのセグメント別にNPSを観察・分析でき、スコアの背後にある「理由」を把握できます。

 

 

 

時間を節約するもう1つの方法は自動タグ付けです。回答者による定性フィードバックは金の卵ですが、それを分析するのは実は結構難しい作業です。定性コメントデータを手動で分類するほど人員に余裕のある企業はほとんどありせん。

 

自分で設定したルックアップリストか、あるいはAIを使ったテーマ抽出分析を使って自動タグ付けすることで、より迅速に対策への行動移すことができます。 また、各機能(サポート、マーケティング、製品)ごとにフィードバックを自動タグ付けすることで、フィードバックを各部門に簡単に展開できます。

 

5. 対策を講じる

カスタマーのハピネス度を上げる対策は、正確に言うと、正にNPSを改善する対策とほぼ同義です。

 

このステップは非常に重要です:

 

・調査を正しく終了させる:アンケートに回答した全カスタマーがあなたから回答へのお礼を受け取るようにしてください

 

・共有する:あなたがNPSプログラムの責任者なら、会社全体がNPSデータから利益を得るようにする責任があります。プロモーターの回答をマーケティング担当者に伝えましょう。彼らはプロモーターから推薦コメントや事例制作への協力を得たいかもしれません。

NPSデータは、アップセルや口コミ紹介の機会として営業チームが使うシステム上にも表示しましょう。プロダクトチームはアプリケーションに関するユーザーフィードバックを参照する必要があります。NPSダッシュボードを全社会議で共有するのも良いことです。全員がカスタマーのロイヤリティ向上活動の一翼を担うべきです。

 

・コラボレーション:クロスファンクショナルNPSチーム(経営層のスポンサーを含む)を編成し、定期ミーティングを開催して計画概要を共有し、具体的な個別戦略に優先順位を付けましょう。

 

おまけ:NPSの先

カスタマー体験を測る指標を1つしか追跡できない場合はNPSを選びましょう。

 

カスタマーからフィードバックを得て対策を打っていく活動が組織に普及したあかつきには、追加の指標導入を検討します。たとえば、CSAT調査を行ってエンドユーザーに満足度を問い合わせるなどです。また、オンボーディングの完了時にカスタマーエフォートスコア(Customer Effort Score; CES)調査を送信し、オンボーディングのプロセスがカスタマーにとり満足いくものだったか理解するのも有意義です。

 

(原文)

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