愛されるオンラインコミュニティのつくり方

カスタマーサクセスという新しい概念を学びあうコミュニティが日本でも数多く生れています。

 

コミュニティ活用が一歩先を行く米国では、アドボカシー(口コミ紹介など)に繋がるコミュティづくりが今大変ホットな議論です。またマーケティング機能や、サポート機能の一環として既存カスタマーコミュニティを上手く運営した実務の事例は既に数多くみられます。

 

そういう議論の前にまずは基本的なオンラインコミュニティの種類と運用に関する記事を紹介します。

 

注:Gainsight社の許可を頂き原文の和訳を紹介します。


 

熱いオンラインコミュニティを運営する

 

カスタマーが幸せになり、サポート体制がより素晴らしくなり、カスタマーとベンダーの信頼関係がますます強くなるような、熱いコミュニティを構築することを提案します。

 

活気に満ちたコミュニティーがあれば、結果としてカスタマーをもっと良く知ることができます:
誰が幸せか? 誰に注意・注目する必要があるか?

 

そこから収益成長を加速させる機会が見つかります。 プロダクトやサービスのイノベーションに繋がる貴重なフィードバックが入ります。幸せなカスタマーが知り合いを紹介してくれたり、新しいカスタマーに出会う機会が訪れます。

 

オンラインコミュニティの3タイプ

 

1. ベルベットロープのプライベートコミュニティ

 

私見ですが、オンラインコミュニティは既存カスタマーのためだけに存在すべきです。決して、見込み客、コンサルタント、その他特別な動機がない人のためのものではありません。カスタマーはネットワークを共有してお互いに出会い、共通の話題を議論し合うのが好きです。

 

ベルベットロープのプライベートコミュニティ(訳者注:許された人だけが入れるコミュニティ)は、既存カスタマー向けコミュニティとして非常に上手く機能します。

 

そこは、カスタマーが外界から保護され、何かを売り込みたい人たちで汚されていない環境です。そこは、同じ課題意識や目的意識をもつ人だけが集い、ネットワークを作り、意見を共有しあい、質問しあい、お互いを支援する素晴らしい場所です。 そこでは、カスタマーが互いに助け合うサポートシステムとしても機能する「あらゆる既存カスタマーが必要なものすべて」が揃う場所です。

 

ベルベットロープのプライベートコミュニティにとり唯一のリスクは、外の視点が”入り込む”のを許されていないため、外の視点をもつには別のコミュニティが必要なことです。

 

2. オープン環境のオンラインコミュニティ

 

オープン環境のオンラインコミュニティとは、文字通り誰でも参加できるため、ベンダーや思考リーダー、潜在カスタマーなど、より多くの人を引き付けることができます。オープンコミュニティの主な目的は、誰もが意見を共有し、ベンダーが時に思想リーダーとなって貴重なコンテンツを提供することです。

 

オープンコミュニティのリスクは、競合などの侵入者があなたのカスタマーへ近づいてプロダクトを売り込む可能性がある点です。

 

また他のオープンコミュニティのメンバーから「ジャンク」されるリスクもあります。分かりやすい例は、オープン環境のオンラインコミュニティ(またはコミュニティ内のグループ)にサインアップすると、何かを売ろうとする人からの沢山の迷惑メールが受信箱に届くことです 。

 

しかし、管理者をおいてメンバー、コンテンツ、コメントを監視することでそういったリスクをおさえ、コンテンツの価値を維持し、コミュニティを上手く運営することができます。

 

3. 業界/キャリアフォーラム

 

これは誰もが参加できるオープンコミュニティと似ていますが、学びあうことにより重きをおくフォーラムです。多くの思考リーダーがこういったフォーラムに参加し、興味深いブログ記事を紹介しています。逆に、コミュニティでコメントやブログを投稿して自分自身を宣伝したい時には最適な場所です。

 

このタイプのコミュニティのリスクは、ベンダーのサービスやプロダクトを宣伝する迷惑メールが届く可能性です。

 

例えばGood Industry / Career Forumsにはコミュニティのコンテンツと参加者を監視する管理者がいます。コミュニティへの参加を申請制にし、コンテンツを視聴する個人をフィルタリングすることが重要です。ベンダーのスポンサーシップはフォーラム存続にとって重要ですが、過剰な売り込みはコンテンツの価値を損なう可能性があります。

 

上手く運営できれば、このタイプのコミュニティは実は最も実用的で最適化されたエコシステムに昇華させられます。つまり既存カスタマーのニーズがきちんとサポートされ、カスタマーが求めるメリットがきちんと提供される完全に統合されたコミュニティに成長します。そうなるよう、より良いコンテンツが提供されるように、カスタマーだけでなく思考リーダーもまた歓迎され増やしていく計画があるはずです。

 

すべてはカスタマーのために

 

こういったコミュニティ、特にプライベートなカスタマーコミュニティで共有されるコンテンツは、カスタマーが求めるものでなければなりません。

 

ベンダーは、カスタマーが知りたいことより、自分たちが知りたいことを質問する誘惑にかられますが、カスタマーに「売り込む」コンテンツが投稿されるとあっという間にコミュニティの信頼性を失います。

 

カスタマーをオンラインコミュニティに誘う

 

オンラインコミュニティを立ち上げカスタマーに参加してもらう方法は山ほどあります。参加してくれたカスタマーに特典を付与したり、カスタマー仲間を招待してくれるようカスタマーにお願いする、などです。

 

熱心なカスタマーが数人いればコミュニティは活性化します。逆に、放置されたコミュニティはやがて死にます。カスタマーが質問を投稿したり、ブログを作成したり、コンテンツを簡単に利用できるようにしましょう。ダンスに似ています。 誰かがダンスフロアに出てくるように促すと、彼らは通常、一晩中踊ります。

 

コミュニティへ質問を投稿したり、回答を投稿したり、サインアップするたびにポイントを付与する報酬制度が効果的な場合もあります。報酬は通常、コーヒー券、サービスへの交換が可能なポイントなど、カスタマーがコミュニティに「訪れたい」と思うものを用意しましょう。

 

いわゆる「ゲーム効果」

 

ギフトや貴重なモノと交換できるポイントなどに加え、「達成感」を利用するのも効果的です。

 

HostAnalytics社のMVPポイントプログラムを導入した経験から学びですが、当初カスタマーはアイテムやサービスのポイント交換に興味を持っていましたが、自然に競争心が刺激されていきました。

 

同MVPプログラムは、プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズなどの達成レベルがあります。それは同社のイベントやプログラムに参加したエリートカスタマーに付与されるものでした。同社のカスタマーはみなこの認定された各グループ内で競争し、プラチナレベルを達成しようと努力したのです。次のレベルを達成したいカスタマーから、レベルのステータスに関する問い合わせや電子メールが継続的に届きました。

 

楽しくかつ学びのある場にする

 

コミュニティ専属のクリエイティブチームと、カスタマーの琴線に触れるコンテンツについて定期的に議論しましょう。専属チームは1人でも、パートタイムまたはフルタイムで働く数人でもよいでしょう。

 

可能な限りビデオを活用してください。エリートカスタマーのステータスレベルを金、銀、青銅などで表示しましょう。カスタマーはゲーム効果や、達成レベル付きで表示される自分の名前を見るのが大好きです。

 

顔写真やプロフィール情報を投稿出来るようにしてコミュニティ参加者のパーソナライゼーションを奨励しましょう。定期的に更新を促し、そうしてくれた人には報いましょう。ベストプロフィールやベスト写真などのコンテストを開催してください。カスタマーの貢献度コンテストやレジュメ褒賞などを企画し、入賞者はニュースレターなどでスポットライトをあててください。

 

コミュニティ専属のクリエイティブチームの存在と彼らの思い切った企画が、活発で長続きするコミュニティをつくる上で最も重要な部分です。

 

出来ることは沢山あります。逆に、コミュニティがカスタマーにとり楽しくてまた参加したいと思うコミュニティになるかどうかは、企画のキレを上げること、そのためのブレーンストーミングが鍵です。

 

(原文)

 

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