キャリアとしてのカスタマーサクセス:カスタマーサクセスに向く人の特性は?

 by 弘子ラザヴィ

 

カスタマーサクセス人材

 

LinkedInが公表する「米国で最も有望な仕事(the most promising jobs)」ランキング2018年で「カスタマーサクセスマネジャー」は3位に選ばれました。この結果は私も何度か記事で触れているので、ご存知の方も多いでしょう。

 

ちょうど昨年の今頃のことでした。その前年は19位、から大躍進ということもあり、米国でも割と話題になりました。ただ、米国のカスタマーサクセス界の人にとっては、「最も有望な仕事」であることは経験に基づく説明不要な事実だったため、「ようやく世間に知れ渡ったか」という静かな反応でした。

 

そうなのです、米国ではカスタマーサクセスは花形キャリアとして認知されています。

 

私は日本でも早くそういう認知が広まってほしいと思っています。そこで今回は、キャリアとしてのカスタマーサクセスに光をあて、「カスタマーサクセスに向く人(人材適性)」について書いてみます。

 

カスタマーサクセス人材とは?

「カスタマーサクセスに向く人の特性は?」ー この質問は、米国でよく耳にします。皆それぞれに自分の経験や信念に基づくこだわりがあって、1人ひとりの回答を聞くのは実はとても面白いです。

 

イベントで会った初対面のカスタマーサクセスな人にこの質問をすると話がもりあがりますし、自分の意見を述べれば良い自己紹介にもなりますのでお勧めですよ!

 

さて、カスタマーサクセスの仕事に適性がある人を「カスタマーサクセス人材」と言った時、その人材要件としての特性とは何でしょうか? ー 以下に私の回答をご紹介します。

 

1) 共感性(Empathy)が強い

私の知る限り、米国のカスタマーサクセス界で活躍する人には「いい人」がとても多いです。それは定義から、相手の成功に思いをはせられる、つまり「この人の成功とは何だろう? 私が役に立てることは何だろう?」を脳が瞬間的に思考し、自動的に手足が動く人でなければ活躍できない世界だからだと思います。

 

私が米国のカスタマーサクセス界に仲間入りさせてもらった時、経験や実績が豊富な人ほどとても優しくしてくれて感動しました。質問やお願いをするとすぐさま丁寧に応じてくれる、に留まらず、頼まなくても勉強会やイベントに招待してくれたり、専門家や仕事まで紹介してくれました。

 

最初は「見返りを期待されているのだろうか?」と戸惑ったのですが、米国のカスタマーサクセス界に長い経験をもつ夫から、「皆そうしたくてたまらない人種なんだ、見返りは必要ない人たちだよ」と言われ、妙に納得したのを覚えています。

 

共感性が強い人とは、カスタマーが何に困っているのか、どうしたいのか、その先に何を実現したいのかといったカスタマーの「成功」の全容を、彼らが今抱える不安な感情や将来への熱い想いもセットで理解でき、対策を行動に移せる人のことです。サポート部門に届く問題を熟知している人も多いです。

 

加えて、そういう人は、カスタマーサクセスを「仕事だから」ではなく、心からそれを重要と信じ、人の役に立つのが好き・頑張る人を助けたい・貢献したいという基本的な欲求に突き動かされて行動します。要は、情熱をもってカスタマーサクセスの仕事にうち込んでいる人たちです。

 

世の中には、情熱をもてなくてもこなせる仕事が山とあります。しかし、カスタマーサクセスの仕事は情熱がもてなければ続かないし、成果もだせません。カスタマーが成功しなければ想い悩んでしまうくらいの人の方が向いていると思います。

 

2) 感情よりも論理(ロジック)やデータを優先して意思決定する

(1)とセットでとても大切なのが、この(2)です。つまり、共感性が強すぎて情に流されがちだったり、人情や人間関係「のみ」で意思決定する人は明かに適さないということです。

 

「凄くカスタマーサクセスな人だなあ」と私が思う人は、例外なくデータの鬼です。

 

カスタマーサクセスの仕事では利用可能なデータが多いという環境与件がある点は大きいです。しかしより大切なのは、そういう環境の中でさらに、目の前のカスタマー1人の今その問題を解くという短期の視点より、将来に同じ問題を抱えかねないより多くのカスタマーに思いをはせた長期の視点を瞬間的に優先できる点です。

 

要は、より多くのカスタマーへ成功を届けるために、論理とデータに基づき再現性と予測性を優先して意思決定をする、そこに拘りをもって譲らない人が向いています。

 

米国では笑い話で、「奥さんや旦那さんとケンカした時に大声で言い返すタイプはカスタマーサクセスに向かない」とよく言われます。

 

つまり、感情的な相手に感情で反論してしまう人は明らかに適性がありません。感情的な相手には忍耐をもって冷静に対応し、相手の感情を沈めるばかりか、論理とデータから巧みにストーリーを展開することで逆に熱烈なファンにさせるくらいのことを平気でできる人が向いています。

 

3) 関係性(リレーションシップ)を重視し長期・全体へ目配せできる

関係性を重視するとは、長期的な関係に基づく価値提供、つまりライフタイムバリューへの意識が強い人ということです。

 

米国ではよく恋愛と結婚を比喩にして「関係性」を説明します。将来よりも今この瞬間を楽しく過ごす関係を重視する恋愛と、死ぬまで続くことを前提に互いの人生を良いものにしようとする関係を重視する結婚との違いです。

 

カスタマーとの関係性を重視するとは、明かに後者の関係へコミットすることです。将来への影響を考えず目をつぶって目先の利益を優先しがちな人にはカスタマーサクセスの適性はありません。

 

加えて、カスタマーサクセスはより多くの人が関わる企業としての関係性なので、全体視点をもてることがとても重要です。つまり、自部門だけでなくマーケティング、営業、プロダクト、管理部門も含む自社全体の利害や状況へ配慮できなければなりません。

 

またカスタマーも企業の場合は、契約の決裁者やプロダクトの管理部門に加え、ユーザー部門も含むカスタマー全社を見渡せる必要があります。特にカスタマーの事業成長にプロダクトが深く関与する場合は、経営者の目線にたって成長戦略を理解し支援できることが必要不可欠でしょう。

 

4) 自分と違うタイプの人と知り合うのが好きで影響力を活かした協業が上手い

カスタマーサクセスの仕事はチームプレイです。多様な課題を抱えるカスタマーへ成功を届けるには、さまざまなスキルや知識や経験が必須ですが、それらすべてを兼ね備える人はいないからです。

 

カスタマーサクセスは、自分と全く違う畑出身の人とチームを組む必要性が日常的にある仕事です。個人プレイが好きだったり、苦手なタイプが多い・人見知りしやすい・孤独な作業が好きな(実は1日中PCの前に座っているのが好きな)人には残念ながら向きません。

 

加えて、カスタマーサクセスの仕事は他のどんな仕事よりも影響力マネジメントが必要になります。

 

影響力とは、職場の上下関係に基づいて部下を動かすことではありません。あなたの権限の範囲を超えた先にいる他部門の部長やカスタマー社内のキーパーソンなどを動かして手助けを得ることです。

 

ストレートに言うと、「権限がない」を理由に行動できない人には適性がありません。例えて言うと、知り合いが1人もいないイベントなどでも積極的にネットワーキングを楽しみ、自然と人の輪に囲まれて、相談や依頼をしあっているような人が向いています。

 

5) 未知のことに挑戦したり未踏のフロンティアを歩くのが大好き

カスタマーサクセスの仕事はタフな人でないと務まりません。

 

想像してみてください:

あなたの元には自社やカスタマーからさまざまな要望が直接届きます。あなたの共感性アンテナは研ぎ澄まされています。データを見ればあなたなら何をすべきか分かります。現実は、全員の要望には応えられず、自分1人では解決不能なことも多くて、他部門やカスタマーのキーパーソンを動かす挑戦の連続です。事業環境と共にカスタマーも変化し続ける中で、彼らの「成功」を影で支えるあなたの役割は永遠に続きます。しかし情熱を絶やしてはいけません。

 

おわかりでしょう。そうなのです、カスタマーサクセスの仕事は想像よりも地味しんどいです。

 

カスタマーは皆違う、あらゆる状況は1つとして同じではないと素で思える人、難しいほど挑戦したくなる人、「前例がない」と聞くと俄然やる気が腹の底から湧いてくる人、そんな人が向いています。

 

大前提で、自社プロダクトを愛していて深く理解していることが必須です。頻繁な変更に関する最新知識を頭に入れ、カスタマーの質問には誠意ある回答をしつつプロダクトチームと連携できる必要があります。

 

要は何事にも好奇心をもち、新しいことを日々勉強するのが大好きな人でなければ続きません。

 

以上、カスタマーサクセスに向く人の特性について、私が重要だと思う5点を紹介しました。

 

このお題には唯一絶対の正解はありません。私の意見とは違う特性を重視する方もいるでしょう。また読みながら「あの人は適性5つとも持ち合わせてる人だ!」と思う人の顔が頭に思い浮かぶ人もいるでしょう。

 

異論、反論、意見、大歓迎です。そういった議論の中から、カスタマーサクセスというキャリアに関心をよせ、期待をもって飛び込んでくださる方が1人でも多く生れることを願っています。もし興味がわいたなら、「カスタマーサクセスというお仕事が超おススメな理由:(1)カスタマーサクセス人材は引く手あまた!」もぜひ併せてご覧いただけると嬉しいです!

 

(以上)

 

YOU MAY ALSO LIKE

Success4 インタビュー:顧客体験データでサ...

READ MORE

NTTデータ AI&IoT事業部のカスタ...

READ MORE

Success4 インタビュー:カスタマーサクセス...

READ MORE

Success4 インタビュー:カスタマーサクセス...

READ MORE

Success4 インタビュー:カスタマーサクセス...

READ MORE

Success4 インタビュー:カスタマーサクセス...

READ MORE

日本初カスタマーサクセスカンファレンス「Succe...

READ MORE

キャリアとしてのカスタマーサクセスの魅力:Repr...

READ MORE

兆速成長するスタートアップの凄い秘密:Produc...

READ MORE

カスタマーサクセスの現状 2019:世界中で活躍す...

READ MORE

リクルートマーケティングパートナーズのカスタマーサ...

READ MORE

国産カスタマーサクセス事例 (1) リクルートマー...

READ MORE