
by 稲田 和絵
『実践カスタマーサクセス』第3期が2022年4~8月に開催されました。
講師陣には、カスタマーサクセス部門を統括する現役リーダー達が、企業の垣根を越えて集結。受講生は講座を通して、自社の実務に即した実践的なアウトライン「カスタマーサクセス計画大綱」を作成しました。
プログラム修了後、それぞれの現場でどのような成果が生まれているのか、受講生のリアルな声をお届けします。本記事では、株式会社マネーフォワードの山口絢子さんのお話をご紹介します。
受講前はカスタマーサクセスのマインドやセオリーが分からなかった、という山口さん。受講中から、学んだ内容をどんどんメンバーと共有しました。カスタマージャーニーマップを再編し、部内の意識を変革。カスタマーサクセス部だけでなく、他部署へも学んだ内容を伝え、全社をあげて「お客さまの成果と体験を追求する」という考え方へと舵を切っています。
目次
1. この事例のポイント
● 受講前は手探り状態。導入支援のみをマンパワーで回していた
● 講演や書籍などで名が知れた講師陣が大きな魅力。「この人達から直接学べるなら」と受講を決意
● 講座で学んだ内容を元に、カスタマージャーニーマップを再編。その過程で顧客との距離が近づいた
● 部内全員の意識が、自分起点から顧客起点に一変
● 以前は顧客満足など定性面を捉えていたが、受講後は「何でも数値化する」文化が部内に根付いた
2. 所属企業・担当ビジネスについて
● マネーフォーワードビジネスカンパニー、HRソリューション本部 カスタマーサクセス部の部長
● 山口さんは、HR領域のプロダクトにおけるカスタマーサクセス部門を統括しています
3. 受講開始時の課題を教えて!
2年前に私が入社した当時、弊社のカスタマーサクセスは本当に手探り状態でした。6名のメンバーで、ひたすら導入支援だけをマンパワーで回し続けていたのです。
実は私、カスタマーサクセスという職種は弊社が初めてで。前職で似たようなことはしていたので、技術面は問題ないのですが、カスタマーサクセスのマインドやセオリーが分からない。また、今後どのように組織をスケールさせていくのかという点も全く見えていませんでした。
部長という役職でありながら、どのようにリードしていけばよいのか、分かっていなかったのです。
また、ジャーニーマップについても、「こんなものを作ればいいのかな」という何となくの理解で書いていました。どの要素が盛り込まれるべきか、この先どう成長させていくのか、どう議論してどのように実務へ落とし込むのか、全く分かっていませんでした。形だけ存在している状態だったのです。
4. なぜ受講しましたか?
実は、小泉先生(実践カスタマーサクセス講師:小泉雅人)を凄く尊敬しているメンバーがおりまして。その人は、小泉先生のテックタッチについての考え方やカスタマーサクセスマインドを、講演などから抜粋して社内で伝えてくれていました。
その小泉先生が講師をされているということで、実践カスタマーサクセスのことを知りました。弘子先生はもちろん、他の先生方も、お名前を知っている方ばかり。
当時は、カスタマーサクセスのセオリーや、進むべき方向性が分かっていなかったので、ずっと先を進んでいる方々から直接お話を聞けるというところに、すごく魅力を感じました。また、組織を束ねるリーダーに向けた講座であることも、大きな魅力でした。
5. プログラム受講後の効果は?
カスタマージャーニーマップとお客さまへのヒアリング
講座の受講中から「カスタマージャーニーマップは、こうやって作るんだよ」、「小泉先生が『作ったジャーニーマップは顧客とすり合わせる必要がある』って言ってたよ」と、どんどんメンバーに共有しました。
ユーザーインタビューもすぐに実施。私たちが思うカスタマージャーニーと、実際のお客さまの動きとのギャップを確認できました。
これまでは、うまくいかなかったお客さまに着目をしていましたが、講義で「うまくいってる顧客からヒントを得る」と教えていただきました。
そこで、うまくいっているお客さまに話を伺ってみたら、「私、未経験なんですが、フォローしてもらった通りに、言われるがままにやっただけで、すごくうまくいきました」と。そういう方がいたということに、実践カスタマーサクセスを受講していなければ気づくことはできなかったと思います。
その後、事例紹介にご協力いただけるようになるなど、お客様との関係性が近くなったことも、インタビューの嬉しい副産物でした
上から下まで全部員の意識が変わった
半期に一度、各自の目標を立てるのですが、その内容が、受講前後で全く違うものになりました。
以前は、自分に何ができるかとか、何がしたいかとか、自分のスキルで貢献できる範囲をベースに目標を立てていました。
しかし、受講後は、「そもそもお客さまに何を提供したかったのか」と考えるようになりました。お客さまにとってのサクセスと、自分たちが提供できる成果と体験。それらを元に解決すべきアクションを導き、そこから目標を立てるようになりました。部内の上から下まで、全メンバーの意識が変わったのです。
現在、チームの規模は大きく拡大し、メンバーの数名がリーダーを務めています。このリーダー陣と、とことん話し合いをしました。その際、私が弘子先生になりきって、ミニ実践カスタマーサクセスみたいな感じで、講座と同じようにディスカッションを行いました。
「CS=CX+CO」という等式のCXとCOについて、戦略シートをリーダー陣と作るようにしています。部として目指すCX、COと、それを基に各グループで叶えるCX、COを明確にし、その戦略シートを見ながらメンバーも目標を立てていきます。
その戦略シートに対して、少しでも疑問があったら話し合う。これを半年に一度、必ず行うようにしています。今、とてもいい形で動けていると思います。
全社をあげてお客さまの成果と体験を追求していく
今、他の部署の人にも、講座で学んだ内容を伝えています。
小泉先生と1on1をもった際、「カスタマーサクセスだけなく、セールスなど他部署のリーダーも同じ意識でいることがとても大切」と教えてもらいました。
油断すると、以前の「とりあえず売り切ってしまえばいい」というマインドに戻ってしまう。そうではなく、「私たちはお客さまの成果と体験を守っていくんだ」と発信しつづけることが大切なんだと。
200人ほどが集まる社内会議でも、カスタマーサクセスが目指すもの、取り組んでいる活動について、お伝えしています。全社をあげて「お客さまの成果と体験を追求する」という考え方にシフトしていく。今、その手応えを感じています。
何でも数値化して把握する
これまで、KPIやお客さまの満足度などを、定性で捉えていたところがありました。数字の形に落とし込めていなかったのです。
しかし、講座の中で、「測ろうと思って測れない数字は、意外と少ない。どうにかして数値化できる方法を考えて、試してみるといい」とアドバイスをいただいて。それから、ユーザーアンケートを取り、顧客満足度についてもNPSのような形で計測しはじめました。
導入後にトラブルが発生した件数などについても、きちんとカウントして分析。「何でも数字で捉える」という文化が部内に根付いてきました。これも、受講の大きな成果だと感じています。
6. 受講検討者へのメッセージ
受講前の段階で、悩みや課題が明確になっている必要はないと思います。ふわっとした悩みであっても、講座の中で課題としてしっかり見えてくるようになりますから。
「受講するにはまだ自分のレベルが低すぎるんじゃないか」というハードルを感じているなら、そこは気にせずに飛び込んでほしい。
私自身、受講前はカスタマーサクセスについてそこまで詳しかったわけではなく、本を読んでちょっと知った気になっていたぐらいの感じでした。それでも、受講しているうちに、会社の課題が何か、自分の課題が何か、組織の課題が何かというところに自然と気づき、言語化できるようになりました。そして、それを他の人に伝えて、講座の中でさらにブラッシュアップできる。これは、自分にとってすごく貴重な経験でした。
「ついていけるのかな」といった不安は気にせず、まずは参加してみてください。ぜひ飛び込んでほしいと思います。受講を悩んでる人がいたら、その背中を押したいです。
(以上)
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SuccessGAKO(サクセス学校)はカスタマーサクセスの未来を創る挑戦者を輩出する学び場です。カスタマーサクセスを追求するのに必要な知識を学び、自分で考え、実行することで、自社、顧客そして自身も成功することを目指す人のために誕生しました。経験豊富な講師陣による講義とメンバー限定コミュニティとが共鳴し、一方的な知識の習得でなく、仲間と切磋琢磨しながら行動することに価値をおいた実践者コミュニティです。
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