SaaS事業のエンタープライズ攻略の秘訣(後編)

 by 弘子ラザヴィ

 

こんにちは!SuccessJapanを運営する弘子ラザヴィです。昨年主催したカスタマーサクセスカンファレンス Success4で、UZABASEの佐久間 衡さんが「エンタープライズに向けたカスタマーサクセスの実現」をテーマにお話しくださいました。

 

佐久間さんの英知を引き出すのに対談1回40分で足りるわけがなく、Success4のフォローアップとしてインタビューさせて頂きました! その内容を 2回に分けてお届けします。

 

前編:エンタープライズ攻略の難しさと意義

・後編:エンタープライズ攻略のステップ1~5  ←今回はこれ

インタビュー動画もぜひ併せてご覧ください!

 


エンタープライズ攻略 ステップ1「本気の決意をする」

弘子:

エンタープライズを攻略したい方は大勢いらっしゃると思います。まず何から始めましょう?

 

衡:

本気の決意・・ですね(笑)。

 

やっぱり流れちゃうんです。SMBやスタートアップの方が、短期的には絶対に売りやすい。短期的に結果もでるから、「そっちの方がいいじゃないか」って、絶対に流されるんですよ。

 

先ほどお話ししたように、そもそもエンタープライズの攻略は、導入までに半年とか数年かかるので、本当に強い決意がないとすぐ諦めちゃうと思います。

 

「(諦めないぞ!という)本気の決意」をするには、まずはエンタープライズ攻略のリアルを知って、会社全体で共有することが大事だと思いますね。

 

短期的な結果が出ないっていうのは、「結果」の定義次第だと思うんです。いきなり受注するのは難しくても、例えば、情報システム部を巻き込んで本格的な導入検討に入っている状態までは 3カ月でできるかもしれない。

 

そういうふうに、「成功」の定義をもっと前段階に持ってくる、そして、そもそも攻略には時間がかかるものだっていうコンセンサスを取る、ことですかね。それもとても難しいことですけれど。

 

エンタープライズ攻略 ステップ2「リアルを知る」

弘子:

では、その次のステップ2は何ですか?

 

衡:

まず「リアルを知る」ことですね。リアルを知る、っていうことがすごく重要だと思います。

 

シンプルに、色んな人に話を聞きに行けばいいと思うんですよ。もちろん私でも、お話できることがあればお話しします。また、エンタープライズに入っていって成果を出している会社さんにも話を聞きまくって、そのリアルを知って、それを会社内で共有する。

 

まずリアルを知る、ってことですね。

 

エンタープライズ攻略 ステップ3「適切な人を採用する」

弘子:

次のステップ3は?

 

衡:

お勉強したことで、採用の基準ができるはずなんですよ。

 

リアルをしっかり知って、でも自分たちが知ったリアルって人に聞いたリアルだから、もっと深いリアルを知っている人を採用して巻き込まないといけない。

 

リアルを知ることで、採用基準がある程度できたと思うので、それ用いて適切な人を採用する。具体的に言うと、大企業の営業で圧倒的な結果を出している人をなんとか採用することだと思います。

 

弘子:

採用したいんだけど良い人がいないですよ、って言う方にアドバイスありますか?

 

衡:

いないことないので(笑)。

 

日本って大企業たくさんあるじゃないですか。大企業で大企業に対して営業して成果を出してる人、多分、そうですね、数万人単位でいると思うんですよね・・いますね(笑)。

 

我々も多人数は採用できてないので、全く偉そうに言えないですけれど。でもいるので、諦めずに声をかけまくるしかないんです。

 

ヒントとしては、例えば外資系の会社さんだったら、一般論的には流動性が高く、転職に対してそこまでハードルが高くないかもしれない。ただ金銭的なリターンをしっかり説明しないといけないので、1人ひとり具体的に話して、株のこととか含め、その先の取りうるリターンもしっかり説明して仲間になってもらう、っていうことがいいかもしれないですね。

 

エンタープライズ攻略 ステップ4「実績をだしてもらう」

弘子:

かなり大きなハードルですが、人を採用できたとして、次は何をしたらいいでしょう?

 

衡:

エンタープライズ向けに価値を届けるために採用した人であっても、まずはSMBやスタートアップ向けにSaaSの営業をやってもらい、そこで実際に価値を出してもらい、サイクルを身に付けてもらうのがいいと思います。

 

SaaSの営業って、もの凄く独特なんです。短いサイクルのパイプラインマネジメントをやっていくところが独特で、それも学ばないといけないと思うんですよね。

 

エンタープライズの営業は、例えば製造業とか人材向けとか無形商材の方がSaaSに近くていいと思いますけども、SaaSの営業とはやり方が全然違う。エンタープライズに張り付いてやっていくアカウント営業と、アカウント営業的な要素もありながら新規をどんどん獲得して、新規のお客様に価値を届けていくSaaSの営業は、そのサイクルを自分の中でどう作っていくかっていうところが全く違うんです。

 

パイプラインマネジメントも、特にエンタープライズ向けだと7段階とか凄く長い。そこを1つ1つ丁寧にお客さんと握って進めていかないと契約にたどり着かない。ものすごく独特だと思いますね。

 

エンタープライズ攻略 ステップ5「マネジメントプロセスを再設計する」

弘子:

実績を出してもらい、皆さんが「いけるぞ」と思ったら、次は何をしましょう?

 

衡:

大企業の組織を知っていて、アカウント営業の経験があり、かつSaaSの営業サイクルも知った人であれば、適切なマネジメントプロセスを設計できるはずなんですね。

 

自社の商材にあった、例えば、3カ月とか半年とか、長いリードタイムでのセールスプロセスの設計、それが次にすることだと思います。

 

実際、そこは凄く難しいんですよ。

 

私はFORCASで、マーケティングやセールスのお手伝いさせていただくことが多いですけど、実際に適切なセールスプロセスが設計できている会社は、残念ながらほぼ無いですよね。メチャクチャ難しいことだと思います。

 

例えば、セールスフォースさんって、自社のセールスノウハウとか、セールスに限らないノウハウをオープンに共有してくれる素晴らしい存在ですけれど、ただそのノウハウを、自社の商材や自社の組織に合ってないのに、そのままインストールしてる企業さんも多いです。

 

それより更に多いのは、「インストールの強度が足りない」ケースですね。やっぱり、セールスフォースさんは「やりきる力」が凄いんですよ。形だけ真似してダメだと思います。

 

例えば、細かい話ですけれど、セールスフォース(ツール)へのデーター入力とか、プロセス管理とかを、定義を決めてシッカリ徹底しているかどうかとか。そういう実際のオペレーションの浸透、そこをシッカリできている会社っていうのは、凄く少ないと思います。

 

弘子:

シッカリできてない理由は何なんでしょう?

 

衡:

え?・・「やる気」(がないから)じゃないですか(笑)?

 

でもこれ、本当に結構難しいことです。

 

SMBやスタートアップ向けに成功している会社さんって、例えば、オンラインセールスやインサイドセールスの比重が非常が高いとか、セールスステップが4ステップぐらいしかない。でもそれでメチャクチャ成功してきてるんですよ。

 

その状態からエンタープライズ向けのやり方に完全にきり変えるっていうのは、本当に大きな能力が必要なので、全体を入れ変えるっていうのは、実際は不可能に近い。

 

具体的に言えば、エンタープライズだけに価値を届けていくマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス、全員いる別のチームを作るべきですね。そうしないと組織全体としてエンタープライズへも価値を届けられる体制への移行はできない、非常に難しいと思います。

 

SaaSビジネスだと、大企業がトライしても新規事業が多いですし、もちろんスタートアップも多いです。なので、まずは死なない、ちゃんと成果を出すことに集中することが大事だと思うんですね。

 

まずはMRRで 1千万円とか、ある程度、死なないで済む長期的な見通しが立てられるところまでは、もうなりふり構わず、生きるためにやるべきだと思います。

 

そのフェーズでは、やっぱりスタートアップやSMB、つまりサイクルが短くてフィードバックがたくさん得られて、プロダクト・マーケット・フィット(PMF)に近づきやすいところに向けて頑張る。多分、私が起業してもそうしますね。

 

そこからエンタープライズにも価値を届けていく体制にシフトするのは、早ければ早い方がいい。ただ、そこは本当に踏ん切りの判断をつけるが難しい。私も、これまで何回も「遅れた」と感じます。

 

プロセスでいうと、まず属人的にSMBやスタートアップに売れる人達が出てきて、そのあと、それをチーム化して、あるていど育成していくステップをインストールして広げていく。

 

そのタイミングと、エンタープライズに価値を訴求していくタイミングはほぼ同じだと思います。なぜなら、ステップ定義とかオペレーションの徹底とかがエンタープライズを攻略するのに凄く重要だと考えているので、それが育成と完全にリンクするからです。

 

なので、そういうタイミングになってくるかなと思います。

 

SaaSのいいところって、オープンにプラクティスや考えを共有していくコミュニティーであるところだと思うんですよね。SaaSって、自分たちの得意分野に特化していく、アンバンドリングしていく、みたいな考え方なので、連携や共創が凄く大切。そこが楽しいですね。

 

連携や共創していって、共に栄えていく、共にユーザーさんに1社では提供できない価値を作っていく。1社だけ成長してもあまり意味がないというか、むしろ1社だけ成長するのは難しくて。みんなが一緒に成長していく、共有していく、そこがメチャクチャ楽しいです。

 

最後にSaaSな皆さまへのメッセージ

衡:

SaaSは共創だと思うんですよね。

我々、会社の価値観としても共創を掲げていますし、SaaSはやっぱり自分たちにしか提供できない尖った価値を提供し、それを色んな会社さんで繋げてより大きな価値を作っていくというところに面白さがある。

 

なので、我々もまだまだなんですけども、小さな成功体験も失敗体験もぜひシェアしていきたいですし、皆さんもシェアして頂きたいですし、本当にこう一緒に盛り上げ、日本の社会、世界の社会を変えていきたいなと思います。

 

前編:エンタープライズ攻略の難しさと意義

 

※インタビュー動画(こちら)もぜひ併せてご覧ください!

 

(以上)

 

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