CEOが語るカスタマーサクセス #002 スティーブ・ルーカス氏 Marketo

「CEOが語るカスタマーサクセス」シリーズ第2回は、一昨年マルケト社CEOに就任されたスティーブ・ルーカスさんです。

 

インタビュー前半で23年間連れ添った奥様への敬意を示されたり、結婚・婚約をビジネスの比喩に用いたりと、愛が溢れる人生・お人柄が垣間見れるインタビューです。

 

カスタマーサクセスについて語るインタビュー後半部分の和訳を以下に紹介します。


 

1. カスタマーの成果を最重視するカルチャーの醸成についてどうお考えですか?

カスタマーサクセスは、クラウドサービスの世界では「やらなければ死ぬ (do or die)」というほど非常に重要なものです。もしカスタマーが我々のプロダクトを使って成果を得られなければ、まるで軽いスイッチを押すかのようにそのサービスをオン・オフできる世界に住んでいるのです。

 

カスタマーが手にする成果は、彼らと最初に会話を交わしたその瞬間から始まり、決して終わりを迎えることのない永遠の関係性そのものです。

 

皆さんがカスタマーサクセスのプラットフォームで提供しているものは、マルケトがカスタマーエンゲイジメントのために提供しているものと全く同じですが、この比較的新しいクラウドの世界で成功したい人にとり、あなたのカスタマーが、プロダクト、サービス、プラットフォーム、それがなんであれ、あなたが提供するものを活用し成果を得ることができず、彼らの信頼を全く得られない、良好な関係性を全く築けないなら、カスタマーはいとも簡単にあなたのサービスをオフにして、他社へ乗り換えてしまうでしょう。

 

2. カスタマーサクセス戦略の要諦はなんですか?

何より重要なのは、カスタマーサクセスは単にいちグループの活動ではない、という点の周知徹底から始めることです。

 

マルケトには、カスタマーサクセスチームがあります。実は、私が夜眠れなくなるほど心配しているのは、社員の皆さんが「カスタマーサクセスはある特定の部門グループがやること(自分には関係ない)」と思ってしまわないかという点です。

 

カスタマーサクセスは、マルケトで働く全員にとって必須です。カスタマーサクセス組織は、開発担当者、サポート担当者、営業担当者、そしてもちろんカスタマーサクセスマネジャー含め、誰であろうと、あらゆる部門でカスタマーサクセスの考え方を実践し、協業するための ”リンチピン(クサビ)” のようなものです。

 

私は、マルケト全社施策の1つとして、全社員の報酬プランにカスタマーサクセス指標を取り入れることを義務化しました。 カスタマーサクセスは、自分以外の誰かが考えれば良い、というものではないのです

 

それは凄いですね!人により異なる指標を用いるのですか?それとも共通指標ですか?

 

どのようなカスタマーが相手でも標準的に使える指標、例えばNPS (Net Promoter Score)のように、標準的な指標として広く受け入れられているものは全社員の報酬プランに適用することができます。

 

一方、B2Bビジネスでは、例えば開発担当者とサポート担当者とでは期待される役割が違うので、彼らの報酬プランではそれぞれに最適な指標を利用する必要があるかもしれません。

 

個人的には、開発担当者はアダプションの成否で評価されるべきだと考えています。というのは、開発担当者は、カスタマーとの絆が強まるような、カスタマーが使いたいと思うプロダクト、使いたいと思う機能を開発する責任があります。

 

SaaSの世界では、カスタマーの実際のアダプション状況を測定するのはとても簡単ですし、カスタマーがプロダクトに対してどれだけ欲求・関心・愛を感じているかを測定することもとても簡単です。我々のようなエンゲージメント組織のCEOとして、私はよく比喩を使うのですが、結婚は婚約/エンゲージメントと共に始まり、結婚が良い形で長続きする限り、婚約/エンゲージメントは永遠に終わりを迎えないのです。

 

3. あらゆる部門の人たちが組織横断で協業できる秘訣はなんですか?

カスタマーサクセスを組織の適正レベルまで引き上げる必要があります。現在、マルケトのカスタマーサクセスは最高執行責任者(COO)へのダイレクトレポートです。この点は重要度ナンバーワンのポイントです。

 

次に重要なのは、最高執行責任者(COO)が組織全体を監督し、開発から、営業から、サービスから、サポートから、あらゆる顧客フィードバックをCOO 1人の元に集まるようにすることです。さらに、そのフィードバックを、カスタマーサクセス部門だけに戻すのでなく、全事業部門に直接届くようにすることで、カスタマーサクセスが正にクサビとして機能し、組織横断的に推進されるよう徹底することです。

 

世界中のあらゆる企業は、事業ラインをどうするとか、営業、HR、R&Dをどうおくとか(気にしていますが、私は)正直あまり気にしていませんし、それが不要だと言っているわけではありませんが、何より重要なのは、組織の中に1人、カスタマーサクセス部門からフィードバックを得て、それをプロダクトのロードマップに反映させたり、サポート部門に反映させたりする権限を持つ人をおくことです。そしてそれは流れるように自然なアプローチでなければなりません。

 

もし組織がよりサイロ的で、左手から入手した情報を右手の新事業プロセスへ反映させる人が1人もいないような縦割り組織だったなら、カスタマーサクセスが目指すところを実現すのは非常に難しいでしょう。

 

マルケトでは “Listen, Learn, and Engage” という標語があります。それは、マーケターがカスタマーに成果をもたらすための処方箋です。

 

マーケティングエンゲイジメントの世界で成功するためにすべきことは簡単です。デジタル・アナログ・その他あらゆるチャネルを使ってカスタマーの声を聞き、カスタマーの欲してるもの・必要としてるものをよく理解し、情報を入手したのと全く同じチャネルを使ってカスタマーと継続的に繋がり続けることです。

 

この Listen-Learn-Engage は、我々がカスタマーを支援するのに用いるのと同じ自社技術を利用して社内でも同様に実行されます。例えば、Twitterやfacebookで誰かがマルケトについて投稿したとしましょう、すると、私たちのカスタマー・サクセス・チームはエンゲージメント・プラットフォームを持っているので、即座にその投稿に注目し、直接対処することができるのです。

 

我々の技術以外にも、皆さんが開発した素晴らしいテクノロジーがたくさんあり、私たちもそういうテクノロジーを使って他にもいろいろやりますが、重要なポイントは、それらテクノロジーを使うことで組織内の協働が可能になることです。

 

4. カスタマーやプロダクトラインが増える際のアカウント成長戦略について教えてください

最も重要なのはアカウントの成長は究極的にはアダプションを成功させることに尽きる、という点です。

 

クラウド事業を推進する企業は2種類あります。1つは、アダプションは新規営業や契約更新の1機能であると考える企業。もう1つは、新規営業や契約更新はアダプションの1機能であると考える企業。私たちは後者です。

 

カスタマーが満足するアダプションに成功した結果として、新規契約や契約更新がプラスに成長するのです。カスタマーがあなたのテクノロジーを利用してあなたの会社のファンになったなら、彼らはより多くの収益や、より多くの取引をあなたの会社にもたらすでしょう。この成功モデルは実際、繰り返し何度もなんども証明されています。

 

マルケトはイノベーションへフォーカスしていますが、我々がカスタマーにとって魅力的なプロダクトを開発できたからといって、それが必ずしも成功を保証してはくれません。既存カスタマーや潜在カスタマーが我々のプロダクトを使いこなし、期待した成果を手に入れるために必要な権限を与えられた組織がなければなりません。

 

アダプションに成功すれば、追加収益や、リテンション率などの非常に重要な指標上で結果が現れます。ポイントは「アダプションが収益をもたらす」という点であり、その逆はないということです。

 

 

5. SaaS企業の成功レシピはなんでしょう?

成功レシピ…難しい質問ですね! 考えてみましょう。

Love what you do.

Love your technology.

Love Your solution, and

Love your customers.

 

もしあなたが、カスタマーの皆さんにビジネスで成功してもらうことを心から望んでいて、あなたの会社が構築しているソリューションのテクノロジーに情熱を持っていて、そしてあなたが心からそれに情熱を持って取り組んでいて、その情熱と愛をあなたのカスタマーにもたらし、 あなたのプロダクトをかけがえのないほど大切なものだと思っているなら、それこそが成功レシピだと思います。そうすれば、素晴らしいメンバーがあなたの会社に集まり、成功したいカスタマーはあなたを信頼するでしょう!

 

カスタマーへの愛と情熱、そして自分の仕事への情熱、それがすべてだと思います。もちろん、成功レシピに必要な材料は他にもあります。しかし、私が20年以上にわたるキャリアで学んだのは「Be relevant」ということです。あなたのカスタマーは、あなたがしている仕事に関して、あなたが頼りになる存在であることを本当に必要としているのです。あなたがそのような存在になれれば、成功間違いなしですよ!!

 

(音源)

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