カスタマーサクセスの実践を通じて自社を変え、顧客に大きな価値をもたらした挑戦者の功績を表彰する『カーディ賞(Cardi Award)』。発表・審査を経て、日立ソリューションズ・クリエイトの関梓氏が『カーディ賞2025』を受賞されました。
本記事では、同氏の発表(10分)の全容を、受賞後のコメントと併せてご紹介します。
皆さん、こんにちは。第一生命保険の荒木と申します。
私は、2024年の4月に立ち上がりました、カスタマーサクセス部の統括マネージャーです。
弊社は、他の発表者さんとは毛色の違う業種でして、発表内容もだいぶ泥臭いかもしれません。かっこいい技術の話は今日はしません。もちろん、技術的なアプローチやヘルススコアを作ったりもしていますが、今日は弊社がカスタマーサクセスをどう広げてきたかの苦労話をお話しします。
皆さん、生命保険に入っていらっしゃると思うのですけど、生命保険のアフターサービスに満足されていますでしょうか? どのようなアフターサービスを期待していますか?
皆さんがご加入している生命保険のお取り扱いをした担当者は今もういないということは、皆さんの中でも経験している方、結構多いのではないかと思います。
そうした「アフターサービス」がとても大きな課題でした。何とかしなければいけない、という話が社内でありました。
当時、私はアンダーライティング部門という、事務部門の中のコールセンターのマネジメントをしていました。その部門内で、担当役員が主導して「カスタマーサクセスをやる」と決まりました。そう決まって、私が SuccessGAKO(サクセス学校)を受講したのが2022年です。具体的な取り組みは何もしておらず、経験者もいない状態でした。
カスタマーサクセスをやるには、大きな投資を会社に求めることになるので、当然、業績への貢献、つまり保険を販売しなければなりません。保険を販売するのは営業担当者である生涯設計デザイナーですので、カスタマーサクセスは販売するための材料を提供することで稼ぐことが課題でした。けれど当時は、どうすればそれができるのか全く分からなかったのです。
私たちの生涯設計デザイナーは、メチャメチャお客様を大切にしています。彼らはアフターサービスに力を入れているので、カスタマーサクセス担当者が彼らのお客様に連絡しようものなら大変なハレーションが起こります。「勝手に連絡しないで」という強い声が起きます。実際、声は起きました。
当時、私はコンタクトセンターにおり、自分の管下の5名の兼務者でパイロットチームを作りました。取り組みを始めた半年後には、兼務者を30名に拡充されました。1日のうち半日だけカスタマーサクセスの仕事をする30名の部隊です。その体制で1年間過ごしました。
活動としては、そもそも何をしたらよいのか分からないまま、まずはオンボーディングをしてみよう、ご契約内容を説明してみようというあたりから始めて、順次、広げていきました。
カスタマーサクセスの活動は、保険の営業につなげなければなりません。けれど、アフターサービスの接点から何が営業につながるのかは、当初は全く分からなかったのです。
活動していると、お客さまの方から「何か提案してくれたら私、入りますよ」といった奇跡みたいなことがたまに起こるのです。それを丁寧に拾っていきました。どういうお客さまで、どういうお話の仕方で、どういうタイミングだといいのかなどを分析し定型化していきました。
結果、そうしたことが割と高い確率で起こることが分かってきましたので、そのバリエーションを増やしていきました。また、アウトバウンドコール、つまり電話営業をたくさんしていましたので、そのノウハウの移植もしました。
生涯設計デザイナーとカスタマーサクセスがセットで活動する場面では、密にコミュニケーションを取る必要があります。つまり、仲良くなるということです。泥臭いですけど、足を運んで会話を繰り返しました。
そうして2024年4月、CSM 400名の体制でカスタマーサクセス部が立ち上がりました。この体制で、約800万人いる顧客のおよそ10%をカバーしています。3万人いる営業マンの3割と一緒に活動しています。来年、更に拡充する準備をしています。
営業成果は割と積み上がってきました。ただ、個人差が大きいです。営業って、マインドの問題も大きくて、、自信が持てない営業だと売れないのです。
それで、AIを活用してお客様のニーズ予測モデルを作り、そのモデルが高いところにアプローチするということに挑戦しています。既に、NPSにも成果が表れてきました。あと、営業マンと割と良い関係を構築できてきたので、営業部門から支援をいただけるようになりました。
ここから補足資料を使って説明します。まず、我々の体制です。
真ん中にお客さまがいて、右側の「生涯設計デザイナー」はいわゆる生保レディーです。
彼らとセットで「CSM」が付くアフターサービス体制をつくりました。
次に活動内容です。
2022年、CSMはオンボーディングだけをしました。
2023年は、我々がエンゲージメントと呼ぶ活動と、エクスパンション、要は営業的な活動をしました。
2024年には、リニューアル、要は契約の意思確認をするなど、徐々に活動範囲を拡大しました。
次は、CSMの担当体制です。
現在、CSM1人がお客さま3,000名を担当する体制です。CSMは、20~30名の生涯設計デザイナーと一緒に活動しています。
社内向けのPR動画も作りました。「カスタマーサクセス部はこんな活動をしています」「CSMはこんないいことをします」とアピールする動画です。
こちらのスライドは、今年2024年前半の活動です。
電話中心で約50万件のお客様接点を持ち、7万名にデジタル接点を登録いただきました。
そこから営業情報が提供され、約2万5000件のリードを生み出し、約1800件の成約に繋がりました。こうした実績が認められてきたと感じています。
NPSもだいぶ向上しました。
担当がいる契約といない契約とでは、意外なことに、担当がいる契約にCSMがつく方がNPSが上がるということが判明しました。
また、解約失効率にも成果が見えてきました。
アンケートをとったところ、お客様も営業も営業拠点長も、みんなCSMを受け入れてくれたことが分かりました。
この楽しそうな笑顔の写真(注:本稿では非公開)は、私たちのフルリモートチームの皆さんです。
カスタマーサクセス部の400名は、東京4拠点、大阪拠点、名古屋拠点の所属です。各拠点に通えない人はフルリモートでCSMの仕事をすることを始めました。
この人たちは、もとは事務担当で、営業やCSMは全く経験したことないんです。でもやり始めるとこんなに楽しそうな笑顔で仕事をしています。
まとめです。
まず挑戦です。経営が後押ししてくれたのが一番大きいです。それで、やったことのないことにたくさん挑戦できて、いろいろ地道な事例を拾ってきました。
次の変化。今、写真で紹介した人たちは、カスタマーサクセスの経験なんか全くないのですけど、やってみるとやり甲斐を感じてくれています。
成果は、社内で推進の機運が高まり、具体的には先ほどご説明した通りです。
貢献です。生命保険業界は色々な課題がありますけど、当社はアフターサービスを大事にしているという姿勢のブランド化を成し遂げました。
あと、意外に業務プロセスも変わることが分かりました。カスタマーサクセスが上流で対応することで、苦情が起きず、手続きが早く終わるため、社内プロセスが変わります。
さらに、従業員のやり甲斐、フルリモートという働き方も開発できたことが貢献かなと思っております。
私の発表は以上です。ありがとうございました。
カーディ賞をいただけたこと、とても嬉しいです。
全く新しい取り組みのなか、お客さまと向き合ってきたカスタマーサクセスマネージャー(CSM)1人ひとりは、日々、挑戦の連続でした。
その挑戦の積み上げが形になり、カスタマーサクセスマネージャーを支えてきたメンバーの努力の結集が評価されたものとして、全員で喜び合いたいと思っています。
まだ道半ばですので、この賞を糧としてさらに進化させて行きたいです。弘子さんをはじめとして、SuccessGAKO 講師の皆さんから、挑戦の種をいただきました。それが育って今があるのだと思っています。
本当にありがとうございました。
カーディ賞は、デジタル時代における日本企業の競争力向上を願い、カスタマーサクセスの実践を通じて自社を変え顧客に大きな価値をもたらした挑戦者の功績を称える表彰制度です。
カスタマーサクセスの未来を作る変革リーダーを輩出する学び場、SuccessGAKO(サクセス学校)を運営するサクセスラボは、カスタマーサクセスの実践を通じて自社を変え顧客に大きな価値をもたらした挑戦者の功績を表彰する『カーディ賞(Cardi Award)』を創設。
2023年11月14日に第1回受賞者を発表しました。選出にあたっては、SuccessGAKO 受講生約300名の中からエントリーした7社7名が各社の取り組みをプレゼンし、挑戦・変化・成果・貢献の4項目毎に投票を行いました。
SuccessGAKOの受講生の多くは大企業に所属します。大企業がカスタマーサクセスに取り組む際には、事業モデル、組織、業務、企業文化や個人のマインドセットなどの変革を伴います。そうした変革とセットの事例を共有・表彰することにより、カスタマーサクセスに取り組み成果を出す日本企業が増えることを願い、本表彰活動を続けていく予定です。
なお名前は、SuccessGAKO のキャラクター名に由来しています。