プロダクトマネージャー気質なカスタマーサクセスマネージャー

GEが2011年から本腰入れて推進中のデジタルトランスフォーメーションについて調べる中で、とても興味深かった点は、以下のGE人事担当者の言葉です。

 

『かつてのGEには、ソフトウェア開発の(プロジェクトマネージャーはいても)プロダクトマネージャーは存在していなかったのです』

 

日本のIT企業、特にシステムインテグレーターと呼ばれるIT企業にもプロダクトマネージャーという職種は存在しないと言われます。なぜなら彼らは顧客の要望に応じてSWを開発する受託開発が中心だからです。

 

一方、プロダクトマネージャーはシリコンバレーのSW系スタートアップには必ず存在します。というか超重要なマスト職種です。

 

彼らは、カスタマーの抱えるペインポイントを深く理解し、プロダクトの機能としての実装可能性を判断し、同時に事業としての採算性や戦略性も考慮して、まだ市場にないプロダクトを企画し、プログラム開発を工数的・予算的に管理しながら指揮することで、最終的にプロダクトを完成させ市場に送り出すことに責任を持つのです。

 

実はシリコンバレーで活躍するカスタマーサクセスマネージャーや、CXOクラスのカスタマーサクセス担当エグゼクティブの中には、プロダクトマネージャー出身が少なからずいらっしゃいます。

 

上述のようなプロダクトマネージャーの経験とそれを裏付ける高度なスキルセットを持ってすれば、会社全体のカスタマーサクセスを統括することはそれほど難しくないのが容易に想像できますね。ただ、そんなスーパーマンは人数として貴重な存在です。

 

今回は「プロダクトマネージャー気質なカスタマーサクセスマネージャーの作り方」という興味深い記事を紹介します。プロダクトマネージャー出身者を採用できなくても、今のCSマネージャーさんに”気質”を身につけてもらうことで彼らの仕事の仕方が変わり、パフォーマンスが上がるかもしれません。

 

注:Strikedeck社の許可を頂き原文の和訳を紹介します。


 

プロダクトマネージャー気質なカスタマーサクセスマネージャー

 

プロダクトマネージャー気質

プロダクトマネージャー気質って何だと思いますか? プロダクトマネージャーの役割は、何よりもまずカスタマーの代弁者であること。そして、カスタマー各人の役割や人間性や感情を深くよく理解していることです。それは、お客様のニーズと事業戦略とを繋ぎあわせる、必要不可欠で非常にユニークな役割です。内緒ですが、カスタマーが幸せなら、PLの成果もほぼ常に幸せな感じです。むしろ、そうでない事例を思いつく方が難しいです。

 

カスタマーサクセスマネジャー気質

想うに、同じような気質を持つカスタマーサクセスマネージャー、つまりカスタマーの代弁者であり、彼らのニーズを何より深く理解している、と同時に事業戦略も理解している人、というのは、仕事で確実に成果を出す人です。そのような人は、あるカスタマーが事業目標と全く相容れないことを依頼してきた時、それは本当に “深いニーズ” であり、カスタマーが真に欲していることを気づかせてくれた!と気付ける人です。

 

私は様々なマインドマップをチェックし、プロダクトマネージャーやカスタマーサクセスマネジャーに当てはまる主要スキルセットのリスト化に挑戦しました;そして重要な気質は全く同じだと発見したのです!

 

 

プロダクトマネージャー気質に必要なスキル

カスタマーサクセスマネジャーが、プロダクトマネージャー気質を身につけようと思った時に役立つスキルセットがあります。 決して網羅的なリストではありませんが、検討の出発点として使えそうです。

 

プロダクトのロードマップを理解している:

プロダクトのロードマップを詳細に理解し最新情報を把握することは、カスタマーサクセスを推進する上で非常に重要です。私は以前、カスタマーサクセスマネージャーにとり、プロダクトマネージャーのパートナー的な同僚を社内に持つことは必須だと言いました。そうすることで、なぜロードマップの構成がそうなっているのか、何がそれをドライブするのかをより深く理解することができます。

 

プロダクトの定義を理解している:

自社のプロダクトがカスタマーのどのような問題を解決し、どのように動作するのかを深く理解する必要があります。また、プロダクトが出来ること・出来ないことを知るのも大切です。あなたは常にプロダクトの定義を理解し、解決しようとしている問題を明確に把握すべきです。

 

カスタマーの問題を適切に文字化できる:

プロダクトマネージャーが持つ重要な能力は、カスタマーの抱える問題を適切な言葉にして周囲に伝える力です。カスタマーサクセスマネジャーは、カスタマーの抱える問題に耳を傾け、あらゆる利害関係者にその内容を正しく伝えられるはずです。その鍵は、”Wants (あったらいい)” と “Needs (絶対必要)” の違いを識別できることです。

 

ビジネスの成果を提供できる:

プロダクトマネージャーはカスタマーに対し、メチャクチャ嬉しい経験だけでなく、ビジネスの成果をもたらすプロダクト特性を設計し提供できます。これは正に、カスタマーサクセスマネジャーが熱心に見習うべき点です。カスタマーと接する最前線にいるということは、プロダクトの将来に影響を及ぼす貴重な立場にいることを意味します。

 

“楽しい経験” が意味することを理解している:

あなたはカスタマーへ “ワオォ!!! ” を提供することに全神経を集中させる必要があります。カスタマーからプロダクトの利便性に関するフィードバックを得て深く理解しているので、あなたはプロダクトの利便性について意見を持っています。それをプロダクトチームへ適切に返すことができます。

 

カスタマーの事業環境を理解している:

カスタマーの競争相手や、彼らの競争市場で起こっていることをよく理解することで、あなたはカスタマーに信頼されるアドバイザーになることができます。それこそ、あなたが目指すことではないですか?

 

KPIを理解している:

データを愛し、データで動き、いつストップすべきか理解してください。プロダクトマネージャーはそれを熟知しています。あなたが対処している対象、その成果を測定する方法、そして提供できたことをよく理解してください。 KPIに夢中になってください。チェックしたい興味深い指標は山ほどありますが、最終的に重要な指標は、あなたの会社があなたの活動の費用対効果を判断するのに使う業績評価指標です。

 

夢想家・創造的である:

既成概念の枠を破り、無意識的な習慣の自爆を解き、既存プロセスを常に疑いましょう。それはカスタマーにとって正しいことですか?それはカスタマーの成功につながりますか? カスタマーの問題や障害に対しクリエイティブな解決策を考え出し、最初は上手くいかないかもしれない挑戦を恐れないでください。

 

カスタマーの声の文書化が得意:

カスタマーサクセスマネジャーがカスタマーとの会話を文字として記録しなければ、貴重な洞察が見逃される可能性があります。カスタマーとの会話には成長機会がたくさん眠っています。すべてのやりとりを文書化し、会話から得た重要な学びは何だったのかを反芻する習慣を身につけましょう。

 

プロダクトマネージャーはこれを常に行います。特にカスタマーと直接やりとりした場合は確実にそうします。必ずしも正式なツールを用意する必要はなく、エクセルや単語帳のような簡単な方法で十分です。(もちろん、CRMやCSプラットフォームを使えばフィードバックをより簡単に集約することができます!)

 

継続的に進化する:

変化に対してオープンになりましょう。あなたは変化のエージェントです!プロセスを変更し、ベストプラクティスを合理化し、いつでも現状を破壊するのを厭わない。そんな「カスタマーファースト」気質を身につけられれば、あなたは決して仕事で失望することはありません。

 

マインドセットを変革する

カスタマーサクセスマネジャーは、カスタマーサクセス戦略を正しく理解して日々忠実に実行し、感動が溢れるカスタマー体験を確実に提供し、KPIを設定して遵守し、常に上向き軌道で事業を追求し続け、そうしてカスタマーを満足させる必要があります。それくらい大変な仕事です。それを上手くやるには、プロダクトロードマップを進化させ、会社組織全体のカスタマーサクセス機能を高めるため、プロダクトマネージャー気質を身につけることが必要不可欠なのです。

 

(原文)

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