SaaSにとって “Good” なリテンションとは (1)

サブスクリプションモデルがほぼ常識であるSaaS企業にとり、リテンション (定着)率 の水準を引き上げることは至上命題ですが、では一体何パーセントを目標にすれば良いのか、について明確な答えを持つ企業はそれほど多くないのではないでしょうか。

 

今回は、SaaS企業に特化した投資等サービスを展開するSaaS Capital社の独自調査レポートに関する記事を紹介します。リテンションの目標値について悩んでいるSaaS企業にとり興味深い内容かと思います。

 

更にSaaS企業にとり超重要な「偽善問題」について解説する「SaaSにとって”Good”なリテンションとは (2)」も是非合わせてご覧ください!

 

注:SaaS Capital社の許可を頂き原文の和訳を紹介します。


SaaS企業にとって”Good”なリテンションとは?

 

このタイトルは、とてもシンプルな質問ですが、それに答えるのは簡単ではありません。定着率の実績を測定する最も良い方法をまず決めなければなりませんし、ベンチマークに適した類似事業を展開するピア企業群を見つける必要もあります。

 

長年にわたり何千社ものSaaS企業を分析してきた我々、SaaS Capital社は、ベンチマーキングに最適な指標は「グロス レベニュー リテンション」であると確信しています

 

但し、この指標を用いる上で必須なのは、「年間契約金額(Annual Contract Values)」または「カスタマー当り収益(Revenue Values per Customer)」が同等の企業ごとにベンチマークを行う必要があるという点です。

 

ネット・リテンション 注1(ネットには、クロスセル、アップセル、値上げを含む)とグロス・リテンション 注2は、すべての企業において共に継続的に計測すべき指標ですが、我々はグロス・リテンションこそ企業のリテンション能力を測定する良い指標だと考えます。

 

なぜなら、グロス・リテンションは 既存カスタマーに対してクロスセルやアップセルをしたり値上げをする能力の有無に左右されず、純粋に既存カスタマーをきちんと囲い込む力だけを切り出して計測することができる指標だからです。

 

ベンチマーク企業を探す際は、年間契約金額(ACV)を考慮しなければなりません。一般的に ACVが高いSaaSプロダクトほど自然と定着率も高くなります。なぜなら、高価なSaaSプロダクトを購入するカスタマーほどプロダクトの購入検討、交渉、実装により多くの時間、エネルギー、そして資金を費やすからです。

 

また、高価なSaaSプロダクトほど大きく歴史の長い企業に購入される傾向があり、そのような企業は倒産や合併に伴う解約の頻度がずっと低いからです。従って、高いACVプロダクトを持つ企業と低いACVプロダクトを持つ企業とを比較することはそもそも全くナンセンスなのです。

 

下の表は、SaaS企業のACV別定着率ターゲットです。 同表は700社を超えるSaaS企業に行った調査から得た2016年の定着率実績データに基づいています。

 

 

我々は同調査データを用い、SaaS企業の年数、規模、成長率、そしてカスタマーサクセスリーダーの有無という視点から分析を行いました。詳細な結果はレポートをご覧ください。興味深い点を1つだけここでご紹介すると、企業の規模が大きくなるにつれ定着率は低下する傾向がはっきりと現れました。

 

注:
1. ネット・リテンション=[1年前のアクティブカスタマーからの当月売上高] ÷ [1年前の当月売上高]。一般的な定義でありSaaS Capital社も利用
2. グロス・リテンションは、ネット・リテンションと同様に計算する。但し、同一カスタマーにおいて当月売上高は1年前の当月売上高を超えない

 

(原文)

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